第四十三話 弔後その十一
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「天の龍は彼以外にも卒業生が二人いて」
「そうでしたね」
「蒼軌征一狼と夏澄火煉がそうでね」
この二人がそうでというのだ。
「残る三人そして姉さんをいつも護っている」
くれていると言おうとしたのを言い換えて話した。
「砕軌玳透もね」
「そうでしたね」
「彼等は今あちらで暮らしているし」
クランプ学園の敷地内にある洋館にというのだ。
「尚更ね」
「あの学園と縁がありますね」
「本当に貴方達三人だけね」
庚は封真にあらためて告げた。
「あの学園に通っていないのは」
「そうですね」
「彼はね」
星史郎の席だった今はモンブランだけが置かれているその席を見て話した。
「どの学校だったか知らないけれど」
「それでもですか」
「あの学園の関係者が多いことは」
このこと自体はというのだ。
「事実ね」
「俺達の多くが」
「ええ、これも縁ね」
庚は微笑んでこうも言った。
「私達のね」
「天の龍と地の龍の」
「そうよ。あの学園もまた結界だし」
「この東京ひいては世界の」
「ええ、ただの学校じゃないのよ」
「幼稚園から大学院まであって」
「様々な学部もね。それで施設も充実していて」
「かなりの学校と聞いていますが」
「それだけじゃなくてね」
それでというのだ。
「造り、学園のそれ自体がね」
「結界ですか」
「星を描いたね」
そうしたというのだ。
「結界なのよ」
「ではあの学園で戦うことも」
「有り得るわ」
庚はこのことも否定しなかった。
「これからね」
「やはりそうですか」
「けれど議事堂や都庁がそうである様に」
「クランプ学園で戦うことは」
「最後の最後よ。何しろ私達共通の場所だから」
天の龍と地の龍のとだ、庚は封真に話した。
「だからね」
「あの場所を壊すことは」
その結界をとだ、封真も応えた。
「最後の最後ですね」
「最後の戦いが終わってね」
「そうですか」
「そうなるわ、思い出の場所をね」
庚はここで目を伏せた、そのうえで封真にそうなっている声で話した。
「そうすることになるわ」
「そうですね、あの学園はです」
「俺達にとっての思い出の場所だな」
遊人も草薙もそれはと応えた、見れば二人も俯いている。
「ずっと過ごしていた」
「そうした場所ですね」
「俺は高校出てすぐに自衛隊に入ったけれどな」
草薙は自分のことも話した。
「高校までな」
「ずっとですね」
「ああ、楽しかったよ」
遊人に思い出を微笑んで話した。
「悪い思い出なんかな」
「あの学園にはないですね」
「一切な」
それこそというのだ。
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