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第四十三話 弔後その十

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「おやつには遅いしね」
「だからですね」
「まだ二人は戻って来ていないし」  
 遊人と草薙はというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「二人が戻って来たら晩ご飯にして」
 そしてというのだ。
「そのうえで」
「ケーキをですね」
「食べましょう」
「わかりました」
 封真は庚のその提案に頷いた、そして二人が戻ってきてから皆で夕食を食べてケーキとなったがここで。
 モンブランが空いている席の前に置かれたのを見てだ、草薙は寂しそうに俯いて苦い言葉を出した。
「いないからな」
「このモンブランはまずは彼に捧げてよ」
 ケーキを置いた庚もそうした顔であった、声も。
「そのうえで私達でね」
「分けて食べるか」
「そうしましょう」
「わかった、それならな」
「いい人でしたね」
 遊人は寂しそうに言った、彼も俯いている。
「本当に」
「そうね、本音は隠していたけれど」
「わかりますよ、根はです」
 それはとだ、遊人は述べた。
「本当にです」
「いい人だったわね」
「確かに罪は犯してきましたが」
 闇の陰陽師としてというのだ、桜塚護として。
「ですがそれでも」
「そうした人だったわね」
「本当に。ですから」
 それでというのだった。
「おられなくなって」
「寂しいわね」
「もう一緒にいられないと思いますと」
「それだけでね」
「そうですね、暫くはです」
「この気持ちは抑えられないわ」
「どうにも」
 こう庚に返した。
「戦いは続いていましても」
「ええ、ただ天の龍の方も今は」
 庚は沈んだ静かな声で述べた。
「動かないわ」
「彼もまた傷付いているので」
「むしろ彼がね」
「一番傷付いていますね」
「その筈よ。そういえば彼は」
「はい、後輩になります」
 遊人はその話もした。
「このことは草薙さんも同じですが」
「クランプ学園に通ってたんだよな」
 その草薙も言ってきた。
「皇家の当主さんは」
「そうでしたね」
「なら俺達の後輩だな」
「庚さんから見ても」
「そうね。そして貴方達から見ると先輩ね」
 庚は颯姫と??を見ても話した。
「そうなるわね」
「そうね、確かに」
「僕達からしてみますと」
 二人もそれはと答えた。
「それで天の龍の人達から見ても」
「そうなるわね」
「確か俺と神威と小鳥だけでしたね」
 封真も言ってきた。
「クランプ学園に通っていないのは」
「ええ、今はね」
 庚もその通りだと答えた。
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