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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ジパング
オロチとヒミコ
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ただろう。
 忘れてたわけじゃないけど、ヒイラギさんやヤヨイさんのいる前ではオロチを倒した英雄として振る舞いたかったという気持ちはあったので、ここにいる間はあまり戦いのときのことは考えないようにしていたのは事実だ。
「う、うん……」
 まさかナギもそう思っていたとは思わず、改めて昨日の自分の戦い方がフラッシュバックされる。
「ナギちん、それってあたしにも言ってるよね?」
「は?」
 予想外の声が返ってきたのは、シーラだった。
「結局賢者になってもあたしが一番役立たずだったし。お祖父様の杖がなければ回復すら出来ないダメ賢者だし」
「そんなことないよ! シーラの分析がなかったら、私たちなにも出来ずにオロチにやられてたよ!」
「そーだぞシーラ! お前の呪文があったから、オロチをあそこまで追い詰めることが出来たんだぜ」
「……」
 すかさず私とナギがフォローを入れるが、シーラ自身が納得できず、口をへの字に曲げている。
 そこへ、今まで黙っていたユウリが苦々しげに口を開いた。
「今回はなんとか勝ったが、課題も残る戦いだった。特に一番問題なのは、全体的なレベル不足だと俺は思う」
 その言葉に、私たちは沈黙で返す。それはすなわち、肯定を意味していた。
「魔王の城に向かう前に、レベルを底上げした方がいい。この件が落ち着いたらレベルを上げられる場所を探したいと思っているが、どこかいい場所を知ってるか?」
 ユウリの目は真剣だった。そして、今までなら一人で決めて一人で勝手に行動することが多かったが、今回は皆の目を見て意見と提案をしている。ユウリも気づいているのだろう。今のままでは魔王を倒せないことに。
「はいはーい!! それなら絶好の場所があるよ!」
 勢いよく手を上げたのはシーラだ。それに倣ってナギもうんうんと頷く。
「確かにあそこが一番手っ取り早いな。お前が遊び人だったときもメチャクチャレベル上がってたし」
「え、二人は行ったことあるの?」
 私が尋ねると、シーラはニヤリと笑った。
「ふっふっふ。道案内は任せてよ☆」
「??」
 何やら意味深な発言に、私とユウリは思わず顔を見合わせたのだった。



 ヒイラギさんの家で食事を頂いたあと、私たちはヒミコ様の屋敷に向かうため、腰を落ち着ける間もなく彼女たちに別れの挨拶をした。
「この度は本当にありがとうございました。これからは二人で一緒に生活することが出来ます」
 家を出る間際、ヒイラギさんとヤヨイさんは家の前で私たちを見送ってくれた。
「こちらこそ、泊めて頂いて助かりました。食事も美味しかったです。ありがとうございました」
 私がお礼を言うと、二人は笑顔で返してくれた。
 これからは昼間でも堂々と二人で過ごすことが出来るようになったということで、ヒイラギさんも
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