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冥王来訪
第三部 1979年
曙計画の結末
篁家訪問 その2
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というがあるの。
それをロスアラモス研究所のムアコック、レヒテの両博士が応用して、重力制御装置を完成させたらしいのよ。
どうやら今度の月面攻略で、その装置を乗せたスペースシャトルを月にぶつける。
そうという作戦案が外交問題評議会(CFR)から提案されて、ホワイトハウスに持ち込まれたらしいの」
「それほどの事を、一介の兵士でしかすぎぬ俺に、何故明かす」
「大切な人を守りたいのよ。
私が、わざわざ南部の田舎、ルイジアナを抜け出して、スタンフォードに入って、グラナンまで行ったのはそういう理由からなのよ」
 マサキは最初の内こそ慎重だった。
だが、ミラが、さりげなくG元素の秘密やその貯蔵量まで明らかにすると、マサキは油断を見せ始めた。
「でも俺は、お前を100パーセント信用してよいのだろうか」
マサキは驚きを隠しきれず、さらに決定的な返事を欲しくて、念を押した。
「嘘じゃないわ。
それに私は、あなたには日本政府さえも知らない情報を教えたじゃないの。
もうすっかり、あなたの仲間よ。あなたの申し出なら何でも協力するわ」
「絶対にか」
「ええ、絶対……」
マサキは静かに紫煙を燻らせながら、相好を崩した。
「お前のような優しい者が、そのように凄んでみては……
折角の、天女のような美貌も台無しだ」
「ねえ、ゼオライマーの秘密を教えてくれる?
私、興味があるのよ」
マサキの語調も、ミラにつられるように強くなった。
「何を」
「教えて、貴方の真の目的を。
どうして無敵のスーパーロボットがあるのに、なんで戦術機開発に参加するのか」
 ミラは、はっきりそう言い切った。
脇で俯いていた美久は顔を上げた。
まさか、ミラがそんなことまで聞いてくるとは思ってもみなかったからだ。 

「原子力や蒸気タービンを上回る、ゼオライマーのエンジン、次元連結システム。
私はこう思うのよ。
確かに帝国陸軍はゼオライマーのエンジンの検証をしても、どこからも異常はなかったという検査結果が出たし、今までBETAとの戦闘もつつがなくこなしてきた。
でもね。あのスーパーロボット、天のゼオライマーを建造した木原マサキの事。
簡単に、人にわかるような構造にするのかしら」
 マサキは、真剣な表情でミラを見つめていた。
ほんの数秒前まであった、マサキの余所行きの笑みは消えていた。
「ひょっとして、肌身離さずその秘密を持ち歩いているんじゃないかって」
 声にうながされるように、脇にいた篁はびくりっと振り返った。
ミラを見て、ハッとしたような表情になる。
「たとえば、装置の上からシリコンをかぶせて、人間の振りをしてね」
 離れて座る篁にさえ、マサキが身を強張らせるのが、判るほどであった。
一瞬にして、周囲の空気が凍るような緊張が走った。
『わ
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