第三部 1979年
曙計画の結末
篁家訪問 その3
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早速、自宅に帰ると、美久を金庫に連れて行った。
1町歩ある邸宅の地下に、200坪ほどの金庫を秘密裏に作っておいたのだ。
そこには、眩いばかりの金銀財宝が並んでいた。
金ははじめ、銀・プラチナなどの希少金属、ダイヤ、ルビーなどの約70種ほどの未加工の宝石。
「この日のために、俺は311万トンに相当する金塊を準備しておいた」
(1978年末の金の平均価格、1トロイオンス=226米ドル。1トロイオンス = 正確に 31.103 4768グラム。)
金塊は、海水中に含まれる金の成分を抽出し、生成したものであった。
マサキの作ったマシンに雷のオムザックというのがある。
物質を原子レベルに分解するプロトン・サンダーという機能があった。
マサキは、それを次元連結システムの応用で部分的に再現した結果、金の抽出に成功した。
ただ海水1トン当たり金1グラムなので、311万トン作ったところで、マサキの気力がなくなってしまったのだ。
金以外の希少金属と鉱物資源は、マサキがハイヴ跡から持ち出したものである。
無論、ミンスクハイヴでのG元素採掘の際に拾い集めたものも含まれていた。
マサキは、いつになく落ち着き払っていた。
「手始めに、100キロの金塊は、各国の政財界の要にばらまく。
ソ連の提案を否決させ、バンクーバー決議を廃案に追い込むために」
マサキの本音を聞いた美久の顔つきは、ひどく複雑だった。
「残り100キロは、マスコミだ。
そうよの、ソ連の支配下にあった東ドイツを悲劇のヒロインに仕立て上げる為に」
唖然とする美久を見て、マサキは悪魔の哄笑を浮かべた。
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