第5話:ギンコ、初めてダンジョンに挑む
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服を着た少女がいとも簡単に真っ二つにした。
「マモノと言うのは、箱にも化ける事が出来るのか?」
「そうなんだけどね……」
氷狼族はワーウルフの仲間だから、宝箱とミミックの違いを臭いで解るけど、あの少年は必死に目に映る宝箱をこじ開ける。
でも、気持ちは解る!
目の前の宝箱の中にレベル上限を激増させるアイテムが入ってるかもって。
かつての私なら、必ずそうしていただろうから。
一方、少女の方は冷静沈着にこのダンジョンを攻略する。
「持ち込んだ食べ物がもう底をつきました。一旦引き返しましょう」
「待って!まだ目標を達成してない!」
「その前に腹ごしらえです。腹が減っては戦は出来ませぬ」
新人と達人の会話としてはよくあるパターンだ。
もう少し、もう少しだけ、そんな風に戻れない所まで入り過ぎて全滅する。
達人はそれを避けたがる。
だが、好奇心旺盛な新人はそこまでのリスクを考えない。
「まだ進める!今日中に目標―――」
「駄目です!腹が減っては戦は出来ませぬ!」
少年の方が折れた。
「……はい……」
でも、その背中は未練に満ちていた。
だけど、引き返してこのダンジョンを出た頃には私のレベルは40に到達した。
たった1日で33も上昇するなんて異常だ。
それは、あの少年のスキルの影響だ。
確かにレベル上限が3なのは悲惨の極みだ。でも、あの少年のスキルは『強さは種類は1つじゃない』って言ってる気がする。
あの少年のスキルは仲間の成長に欠かせない物だ。その証拠に、レベル上限がたったの7だった私がレベル40に達した。
が……今日集めたアイテムの整理と換金をしている間、
「あと少し進めれば……あと少し進めれば……」
どうやら、あの少年は自分の本当の利用価値に全く気付いていない様だ(笑)……
自分のスキルが勇者セインに大いに貢献出来ると思うんだけどなぁ(笑)……
ま、私はあのウンコセインは好きじゃないけどね!
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