第四十四話 狐狸その四
[8]前話 [2]次話
「ないわ」
「そやね」
「敵を討つ覚悟やなくてな」
そう言って狸を正面から攻撃するのではなくというのだ。
「いつも騙して残酷にやってるな」
「あれはないね」
「流石にな」
「あの兎めっちゃ陰湿やな」
こう言ったのはメルヴィルだった。
「正々堂々とかな」
「一切ないね」
「ほんま敵討ちはな」
「普通正面から名乗ってやるね」
「何処の国でもな」
「そやね」
「あの狸も非道やが」
お婆さんにしたことはというのだ。
「そやけどな」
「卑怯過ぎるね」
「しかもどんな残酷でも一回で済ませるもんを」
敵討ちをだ。
「三回も延々とな」
「騙し続けて」
「やるなんてな」
それはというのだ。
「あまりにもな」
「卑怯やね」
「残虐でな」
「あれは敵討ちやなくてな」
羅も言った。
「嬲り殺しやろ」
「確実にそれやね」
「ほんま普通はどんなに残虐にやっても」
「一度で終わらせるね」
「それが敵討ちや、水滸伝でもな」
この作品でもというのだ。
「そうしてるしな」
「それでやね」
「あの兎はどう見てもな」
「敵討ちにしてやおかしいんやね」
「あの兎の性格考えたら」
トウェインも考える顔になって話した。
「かなり卑劣で陰湿で執念深い」
「そして残酷やね」
「そんな奴やな」
「敵に回したらあかんし」
「惚れてもな」
太宰の作品にある様にというのだ。
「そうしてもな」
「あかんね」
「ああ、狸が何したんや」
太宰のかちかち山の彼がというのだ。
「好きになっただけやろ」
「それで惚れたが悪いかやで」
「惚れるんが悪い筈あるか」
トウェインは忌々し気に言い切った。
「相手が彼氏持ちとか人妻さんでもないとな」
「ええね」
「そや、何でそんな殺され方せなあかんねん」
「確かにな」
リーも否定しなかった。
「惚れたが悪いかなんてな」
「ないね」
「ある筈がない、身分違いとか立場が違うとかもな」
そういったこともというのだ。
「本来はな」
「恋愛にはないね」
「その筈やからな」
だからだというのだ。
「嫌いでも告白を断ればええ」
「それだけやね」
「それも相手を傷付けん様にしてな」
そのうえでというのだ。
「したらええんや、けどな」
「あの兎はちゃうね」
「断わるどころか騙してまでしてな」
それも何度もだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ