第百四話 過ごしやすくなってその五
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「鈴虫を飼って増やすこともね」
「してるの」
「それで人にプレゼントすることも」
「してるの」
「そうみたいだよ」
「あの人あんな一面あるのね」
「あれで嘘吐かないで」
このことはジャーナリストの倫理を守っているということか。
「殺人とか汚職もね」
「しないのね」
「とんでもない人でも」
球界を専横した様なだ。
「けれど守るところはね」
「守る人で」
「それで虫の声が好きな」
「そんな一面もあるのね」
「あの人もね」
「それは意外ね」
理虹もその話を聞いて驚いた。
「あの人がね」
「うん、ただこの人も外国の人だと」
それならとだ、古田は話した。
「やっぱりね」
「虫の音わからなかったのね」
「そうだと思うよ」
「そうなのね」
「秋といっても」
「日本の秋が全部わかるか」
「そうでもないんだよね」
これがとだ、古田は言った。
「虫の音ね、あとね」
「あと?」
「銀杏の匂いが」
「ああ、滅茶苦茶臭いから」
「それが嫌って人もね」
「多いわよね」
「日本人でもね」
その銀杏に親しんでいるというのだ。
「辛いしあの実を食べるのも」
「実は凄い手間がかかるのよね」
理虹も言った。
「銀杏って」
「知ってるんだ」
「お母さんが言ってたの」
「そうだったんだ」
「お店で普通に買えるけれど」
それでもというのだ。
「食べられる様になるまでに」
「凄い手間がかかるんだよね」
「お話聞いてそこまでする?って」
その様にというのだ。
「思ったわ」
「そうなんだ」
「私はね」
こう言うのだった。
「本当に」
「そうだよね、けれど食べると」
「美味しいのよね」
「そうだね、それに茸も多いし」
秋はというのだ。
「そのこともいいよね」
「茸いいわよね」
「松茸は高いけれどね」
「松茸ね。うちは別にね」
理虹は松茸と聞いてこう返した。
「家族皆ね」
「好きじゃないんだ」
「妹なんて椎茸大好きで」
この茸がというのだ。
「松茸見てもふーーーん、で」
「椎茸見たら大喜びなんだ」
「お味噌汁とかお鍋に入れたら」
その時はというのだ。
「真っ先に食べる位よ」
「妹さんそこまで椎茸好きなんだ」
「美味しいし身体にいいって言って」
事実椎茸は身体にいい、中国では皇帝が不老長寿の霊薬として口にしていた程のものであった。かつて椎茸は容易には出来なかったのだ。
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