第八十五部第三章 北京星系を見てその六
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「ゴールを開けておく、それはね」
「誰もしませんね」
「確かにキーパーも攻撃に参加出来ますが」
「常に十一人で攻撃してです」
「キーパーを全くゴールに置かないなぞは」
「キーパーがフォワードの場所にいて」
攻撃の主体である。
「それでフォワードを三人、キーパーなしでサッカーをすれば」
「攻撃力は高くなるでしょうが」
「それでもですね」
「まず行わないですね」
「そうですね」
「そうなるわ、野球でもね」
伊東は今度はこのスポーツの話をした。
「強力なバッターがいて対策に外野手を四人置く」
「それはですね」
「確かに外野の守備力は上がりますが」
「内野はどうか」
「それはですね」
「内野手が三人になれば」
その時はというのだ。
「わかるわね」
「一人いなくなりますと」
「大変ですね」
「若しそうなると」
「そこからですね」
「結局守備が崩れるわ」
そうなってしまうというのだ。
「だからね」
「それはですね」
「出来ないですね」
「どうにも」
「左様ですね」
「だから普通はね」
それこそというのだ。
「しないわ」
「キーパーを始終フォワードの位置に置くことも」
「外野手四人も」
「まずしないですね」
「誰も」
「実際にある強打者を警戒して外野手四人体制にしたチームがあったわ」
一九七〇年代の阪急ブレーブスである、邪悪の化身巨人を成敗せんと巨人の主砲王貞治に対してそのシフトを組んだのだ。
「けれどね」
「失敗したのですね」
「結果として」
「それで、ですね」
「敗れた」
「そうなりましたね」
「幾らそのバッターが強打者でも」
長打が警戒されてもというのだ。
「奇抜過ぎる対応はね」
「かえって駄目ですね」
「誰もしない様なことは」
「結局ですね」
「それが敗因となりますね」
「そうよ、だからね」
伊東はさらに話した、尚阪急ブレーブスの監督だった西本幸雄はオーソドックスな戦術を得意としその安定した采配と選手育成に定評があった。そこでかえって奇抜な策を用いて敗れたと言われている。
「カバリエ外相もよ」
「オーソドックスですね」
「あの方の策は」
「時折奇策を用いても」
「普段はそうですね」
「そうよ、王道という言葉の通りに」
まさにというのだ。
「それこそがね」
「最もよいのですね」
「オーソドックスこそが」
「左様ですね」
「それは私達もよ、だからこそね」
スタッフ達にさらに話した。
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