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第四十三話 弔後その一

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                第四十三話  弔後
 神威は学校の屋上で小鳥を交えて封真と会っていた、封真は彼に沈痛な顔で語っていた。
「星史郎さんのお通夜は終わってな」
「葬式もか」
「終わった、そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「あの人のお家のお墓にな」
「葬ったか」
「そうした、俺達でな」
「そうしたんだな」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「皇昴流さんだったな」
「そうだ」
 神威は彼の名を呼ばれそうだと答えた。
「あの人にもだな」
「安心してくれとな」
「伝えればいいな」
「そして俺達は昴流さんを恨んでも憎んでもいない」
 封真は確かな顔でこのことも話した。
「だからな」
「気にしなくていいとか」
「伝えて欲しい、むしろ」
「昴流さんが心配か」
「大丈夫なのか?ああしたことがあったんだ」
 封真は今度は実際に心配している顔で神威に尋ねた。
「傷付いていないか」
「今は休んでいる」 
 神威はその封真に正直に答えた。
「だが」
「大丈夫か」
「あの人はまた立ってだ」 
 そうしてというのだ。
「前に向ける様になる」
「ならいいがな」
 封真は神威の返答に少しほっとした顔になって応えた、向い合って立っていて神威の傍に小鳥がいる。
「俺達は確かに敵同士だが」
「昴流さんのことはか」
「よく知らないこともあるが」
「憎いともだな」
「さっき言った通りだ、嫌ってもいないしな」
「むしろだな」
「星史郎さんとのことを星史郎さん自身から聞いた」 
 だからだというのだ。
「お二人、いや三人のな」
「北都さんだったな」
「その話を聞くとな」
 そうすればというのだ。
「どうしてもな」
「心配になるか」
「ああ、だから大丈夫ならな」
「安心したか」
「そうなった、昴流さんに伝えてくれ」
 暖かさと真剣さが感じられる顔で言うのだった。
「また前を向いて欲しいと」
「わかった、伝えておく」
 神威はまた答えた。
「昴流さんにな」
「宜しく頼む、ただな」
「戦いはだな」
「まだ続く、お互いに容赦は出来ないな」
「それはな」 
 神威も否定しなかった。
「どうしてもな」
「そうだな、だが死なないことだ」
「願っているな」
「勝てばいいんだ」
 戦いはというのだ。
「俺も他の人もだ」
「命までは望んでいないな」
「それならこうして話していない」
 以前の様にというのだ。
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