暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第178話:愛に生きる騎士
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で前に進めそうよ」
「前に……そう言えば、ソーニャって今は何してんだ?」

 復興に手を貸している事は知っていたが、それ以外で何をしているかは知らなかった。なので純粋に興味を持って訊ねてみれば、返ってきたのは意外な答えだった。

「今は、その……家や家族を失った子供達の支援をね」
「え? それって……パパやママの遺志を継いで……?」

 クリスの言葉にソーニャは静かに頷く。クリスの両親の死後、ソーニャは自分に出来る事をと2人の遺志を継ぎ子供達の支援に力を注いでいたのだ。それは決して楽な道ではないだろう。特に内戦が続く国なら猶更だ。それでも彼女は諦める事無く、嘗ての自分のミスを清算するように。
 だがこれからは違う。これからは、本当の意味で子供達を、故郷の人々を笑顔にする為に活動するのだ。クリスと透が過去を乗り越えて前に進む事を選んだように。

 立ち上がったソーニャは、まるで親が子を見るような目で透とクリスの事を見つめた。

「頑張ってね、2人共」

 それはこれから未来に向けて歩む2人へのエール。何時か、世界中の人々を笑顔にする為に2人が飛び立つ時を心待ちにしての言葉であった。その言葉を正しく理解した2人は、それに応えるように頷き彼女の手を取った。

「あぁ。何時か必ず、またそっちに行くからな」
「待ってるからな、クリス! 透も!」

 微笑み合うクリスとソーニャの横で、ステファンと透が軽くハイタッチする。

 この場に最早過去に囚われて足踏みする様な者は誰も居ない。誰もが未来に希望を見出し、歩む事を選んでいた。

 その4人を祝福する様に、爽やかな風が彼らの間を吹き抜けていくのだった。
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