【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第7節】新暦75年の11月と12月の出来事。
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レオーネ「お主の冗談は笑えんわ!(怒)」
そこで、ミゼットは不意に、グラスをまた目線の高さに掲げてこう言いました。
「心は水、体は器のようなモノだと、私は思うの。このお茶が今、円筒の形をしているのは、円筒形のグラスの中に入っているから」
「それは、つまり、我々は『人間らしい体』を失えば、いずれは当然に『人間らしい心』をも失うことになる、という意味か?」
「あくまでも、『私はそう思う』というだけの話よ」
「しかし、こればかりは、『仮説を検証するために実験をしてみる』という訳にも行かんなあ」
「ところで、あの三人は一体どこで実験をしたんぢゃ? あの時代の技術力を考えれば、自分たち自身にあんなヤバい処置を『ぶっつけ本番で』施したとは、とても思えんのぢゃが……調べてみても、ミッド地上には、あの種の実験をした痕跡がまるで見当たらん」
「では、どこか別の世界で、ということかしら?」
「それに、もし本当にミゼットの言うとおりぢゃとすると、三脳髄どもの『記憶転写クローン』という構想には元々無理があった、ということにはならんか?」
「だからこそ、〈プロジェクトF〉への資金投入は早期に打ち切られた、と?」
「うむ。そもそも、『小児の肉体』に『大人の意識』を収めるというのは、『技術的に』と言う以前に、果たして『原理的に』可能なのか? より小さな器の中により大きな中身を詰め込んだら……普通は、中身が溢れ出してしまうか、器が壊れてしまうかの、どちらかぢゃろう?」
「単なるデータであれば、圧縮することもできるんでしょうけどねえ」
レオーネ「ああ。そう言えば、思い出したよ。あれは、確か……新暦14年のことだったかな。当時の管理局総代は第4代ノザルディン・ヴィスタクードで、ミッド人としては初の総代だったのだが、彼が地元のアンクレス地方で何かのパーティーを主催した時に、私はその頃、彼の直属の部下だったので、それに付き合わされたのだ。
その席には、確か、ゼブレニオやグロッセウス卿の姿もあったと思うのだが……ともあれ、私はその席で『古代ベルカの王族の末裔で、祖先の「記憶」を継承している』という若者に会って少し話をしたことがある。確か……名前はニコラス・ストラトス。当時、23歳だと言っていたから、私よりちょうど10歳年下だな」
ラルゴ「記憶継承者! 噂には聞いたことがあったが、今も実在しておったのか?」
レオーネ「うむ。その人物が言うには、彼が継承した記憶の本来の持ち主は『聖王戦争の時代に30歳で戦死した王』だったのだが、彼が12歳になって初めてその記憶を継承した時には、その王の『晩年の記憶』は、まだ上手く思い出すことができなかったのだそうだ。
確か
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