暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第5節】元老ミゼットとの、極秘の会話。
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 さて、〈ゆりかご〉の爆散や「総代」の急死から何日か()って、〈本局〉でもいろいろと状況が落ち着き始めた頃のことです。
 新暦75年の9月下旬、ミゼット統幕議長は「謹慎中」のリゼル・ラッカードを(ひそ)かに自分のオフィスへと招き入れました。口の堅い秘書を控えの間に退()がらせて奥の間で二人きりになり、お茶を飲みながらゆっくりと話をします。
「まずは、謝らせてちょうだい。今回は、あなたに随分と損な役回りを引き受けさせてしまって、本当に悪いことをしたと思っているわ」
「いえ。どうぞ、お気づかい無く。可愛いクロノを社会的な非難から護る『盾』になることができたんですから、個人的には何も後悔などありませんよ」
 リゼルは笑って、そう(こた)えました。もちろん、彼女の性格からして、クロノが隣で聞いていたら、こんなに素直な言い方はとてもできなかったことでしょう。

「そう言ってもらえると、私としては、だいぶ気が楽になるわ」
「でも、降格処分の上に、謹慎が一年以上も続くとなると、もう『懲戒免職処分の一歩手前』って感じですよねえ」
 リゼルはやや自虐的に笑って言いました。決して相手を非難するような意図は無かったのですが、それでも、ミゼットは穏やかな口調でまた謝罪の言葉を述べます。
「ごめんなさいね。私としても、あなたのような優秀な人には早く現場に復帰してほしいと思ってはいるのだけれど……いくら最高権力者でも、可能な限り『法の許す範囲内』で動かなければならないわ。となると、過去の判例から考えて、あなたの謹慎処分も『一年未満で切り上げる』という訳にはいかないのよ。長期休暇だと思って、しばらくのんびりしていてくれないかしら」
「どうせなら、二年ほど続けてくださいよ。そうすれば、その間にテキトーに再婚して、もう一人ぐらい産んでおきますから」
 その口調のあまりの軽さに、ミゼットは思わず笑ってしまいました。

 ややあって、ミゼットは気を取り直すと、今度は少し遠慮がちな口調で問いかけます。
「そう言えば……あなたって、娘さんが一人いるのよね?」
「はい。今年で初等科一年生のはずなんですが……正直に言うと、もう(えん)が切れてしまっているので、普通に学校へ(かよ)っているのかどうかは、よく解りません」
 リゼルは少し困ったような表情で、そう答えました。
(要するに、『家庭で通信教育を受けているのかも知れない』という意味です。)
「親権も剥奪されたと聞いたけど……もし良ければ、どうして離婚に至ったのか、聞かせてもらえないかしら?」
「いや、つまらない話ですよ。……と言うか、そもそも、あの結婚自体が本当につまらない理由でしたことだったんですけどね」
(ええ……。)
 ミゼットの呆れ顔を面白いと感じたのか、リゼルは少し調子に乗って
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