【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第5節】元老ミゼットとの、極秘の会話。
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の犯罪者どもの背後に、別の誰かがいた、ということですか?!」
すると、不意に部屋の「空気」が一変しました。
いや。正確に言えば、一変したのは、ミゼットが周囲に放っていた「雰囲気」です。あるいは、もう正直に「オーラ」と呼んでしまった方が良いのかも知れません。
ミゼットの眼は、もう少しも笑ってはいませんでした。今までは一貫して穏やかな表情を浮かべていた小柄な老女から、今では強烈な圧迫感を感じます。
並みの人間なら、ここでもう無意識のうちに腰が引けていたことでしょう。それでも、リゼルはテーブルに両手をついて、ミゼットの鋭い眼光を真正面から受け止めながら、上半身をむしろ前傾させました。
「答えてください」
「これを聞いてしまったら、あなたはもう本当に引き返せなくなるわよ」
そんな脅迫めいた口調にも、リゼルは不敵な微笑すら浮かべて、こう詰め寄ります。
「今さら何を言っているんですか。ここまで来たら、もう『毒を食らわば皿まで』というヤツですよ。どうか、私に最後まで貴女のお供をさせてください」
すると、今度は少し時間をかけて、また部屋の空気が元に戻って行きました。
「やっぱり、こんなチャチな脅しは、あなたには通用しないみたいね」
そう言って、ミゼットはまた、いつもどおりの穏やかな表情を浮かべました。
「いやいや。充分にヤバいレベルのプレッシャーでしたよ」
リゼルが表情を崩すと、ミゼットは、まずお茶で軽く喉を湿らせます。
「それでは、聞いてもらおうかしら。俄には信じ難い話ばかりだろうと思うけど、すべて本当の話だから、心して聞いてちょうだい」
そんな前置きをしてから、ミゼットは静かな口調で怖ろしい真実を語り始めたのでした。
まず、『かつての最高評議会の三人組が、実は脳髄と脊髄だけの姿となって、つい先日まで生き延びていた』ということ。
次に、『今までの総代や元老たちは皆、彼等〈三脳髄〉の傀儡で、彼等こそが「管理局の陰の支配者」だったのだ』ということ。
さらには、『自分たち三人も脳にチップを埋め込まれていたので、反逆の意思はあっても、現実に計画を立て、それを実行に移せるようになるまでには大変な時間がかかった』ということ。
そして、『あの犯罪者は、「記憶継承クローンの作製や〈ゆりかご〉の修復」など、常人には実行不可能な作業を実行させるために、あの三脳髄が造り出した「人工の天才」であり、人間ならぬ人造生命体なのだ』ということ。
「実は、あの爆弾艦も、元々は『三脳髄の根拠地を見つけたら、テロに見せかけて、たとえ周囲にどれほどの被害が出ようとも突っ込ませる』という覚悟を持って用意したものだったのよ。
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