【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第5節】元老ミゼットとの、極秘の会話。
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差しはさむと、ミゼットはふと驚きの表情を浮かべました。
【なお、シュテンドラウスは、舞台となった惑星(管理外世界)の名前です。】
「ちょっと待って。あれって、そんなに有名な話になっているの?」
「はい。一般世間では、それほど知られていない話かも知れませんが、士官学校の『現代海戦』の講義では、必ず言及されるエピソードですよ」
「念のために訊くけど……どういうニュアンスで語られている話なのかしら?」
「もちろん、『撤退すべき時には正しく撤退の決断を下せるのが、優秀な指揮官だ』というニュアンスですが?」
リゼルが『何を問題視しているのか、よく解らない』という口調で答えると、ミゼットは思わず天を仰ぎ、ひとつ大きな溜め息をつきました。
「あれは、そんな御立派な話じゃなくて……単なる『負け戦』だったんだけどね。何隻も犠牲を出してしまったし……」
「それでも、もし貴女が引き際を間違えていたら、犠牲はもっともっと増えていたに違いありません。最悪の場合、局の艦隊だけでなく、民間の船団までもが全滅していたことでしょう」
これは、まったくリゼルの言うとおりでした。
実際、管理局にとっては「二回目の直接遭遇」となる、新暦25年の〈闇の書事件〉では、前回の教訓があまり活かされず、結果として、民間の船にも多くの犠牲者が出ていたのです。
そこで、ミゼットは大きく息をついて、やや強引に気持ちと話題を切り替えました。
「まあ、それはそれとして、少し話を戻すと……はやてさんは、私が発見した管理外世界の出身者で、その上、〈闇の書事件〉を最終的な解決に導いた人物だったから……一方的なものだけれど、私は少しばかり親近感を覚えて、実は、彼女が管理局に入った時から、彼女にはそれとなく注目していたのよ。
必ずしも特別に贔屓をしていたつもりは無かったのだけど、客観的には、そう思われても仕方の無い状況なんでしょうね。正直なところ、私は彼女のことを『こんな孫が欲しかった』と思える程度には気に入っているわ」
(年齢的に、彼女は孫では無く、曽孫なのでは?)
リゼルは内心ではそう思いましたが、下手に年齢の話を出すと藪蛇になるかも知れないので、リゼルは慎重にその話題を避けて、また別の質問をしました。
「それと、実は、もうひとつ解らないことがあるんですが……結局のところ、あの犯罪者どもは〈ゆりかご〉をあんな不完全な状態で無理に飛び立たせて、一体何がしたかったんですか?」
「それは、私たちにも本当に解らないのよ。あるいは、彼等もまた『今回の事件の黒幕』の指示に従っていただけだったのかも知れないけれど」
これには、さしものリゼルも、思わず大きな声を上げてしまいます。
「……黒幕? あ
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