【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第5節】元老ミゼットとの、極秘の会話。
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にも行かず、また、当然ながら、『新人提督のリゼルを艦隊指揮官にして、クロノ提督をその指揮下に置く』という訳にも行きませんでした。
つまり、ミゼットとしても、あの時は本当に「咄嗟の判断で」ああいう形にするしかなかったのです。
それでも、ミゼットは大いに後悔の念を込めて、静かに頭を下げました。
「結果として、あなたたち父娘には、二世代に亘って嫌な役ばかりを引き受けさせてしまったわね。本当にごめんなさい」
「いや。まあ、それは良いんですが……今回の仕事は、本当にあんな結果で良かったんですか? クロノは結構、マジで〈ゆりかご〉を手に入れたがっていたようですが……」
それを聞くと、ミゼットもさすがに難しそうな表情を浮かべます。
「私たちも悩まなかった訳じゃないのよ。ただ、『アルハザードの技術』は、やはり、私たちにはまだ早すぎると判断したの。……彼の気持ちも解らなくは無いけれど、技術は一度、外部に漏れてしまうと、もう取り返しがつかないから」
それ自体は、確かにそのとおりで、リゼルも納得の正論でした。
〈ゆりかご〉以外にも、スカリエッティが編み出した技術の多くは、少なくとも当分の間、管理局の側で秘匿せざるを得ないでしょう。
リゼルはひとつ大きくうなずいてから、また次の話題に移りました。
「それと……クロノの昇進は、ちょっとペースが速すぎるんじゃありませんか?」
『17歳で艦長、21歳で提督』というのも充分に驚異的な速さですが、クロノ提督は今回の功績により、来春には25歳の若さで少将に昇進することが、すでに内定しています。
「今の管理局には、やはり『解りやすいヒーロー』が必要だと思うの。少なくとも、私たち三人はそう判断したわ」
「それは、ラウ・ルガラート執務官だけではまだ足りない、ということですか?」
「執務官は、確かに一般民衆の間では大変に人気の高い職種だけれど、階級はあくまで尉官でしかないから。局員向けにはもう少し階級の高いヒーローが必要なのよ。
たとえ実際には手が届かない存在であったとしても、何かしら『仰ぎ見る星』があった方が、人間は己を正しく律することができるものだから」
確かに、人間とは、そういう生き物なのかも知れません。
「それと……八神はやて二佐のことも、随分と贔屓にしておられるようですが?」
「一般にはあまり知られていない話だけれど……私は〈大航海時代〉に一度、みずから調査艦隊を率いて、管理外世界をひとつ発見したことがあるの。その四年後には、また管理局で言う〈最初の闇の書事件〉に遭遇した訳だけれど……」
「ああ。あの有名な〈シュテンドラウスの撤退〉ですね」
相手の一瞬の間を突くようにして、リゼルがそう言葉を
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