【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第5節】元老ミゼットとの、極秘の会話。
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ません。
それで、その手記には、貴女のこともいろいろと書かれていました。
『自分は小児の頃から、あの女には世話になりっぱなしだった』とか、『元々、ジェルディスも〈ハルヴェリオス〉もあの女から頂いたものだった』とか……。
『自分の両親は毒親だったから、自分にとっては、あの女こそが親のような存在だった』とか、『だから、お前もあの女のことは信頼して良い。自分に「もしものこと」があった時には、自分の代わりに「恩返し」だと思ってあの女のために働いてほしい』とか」
それを聞くと、ミゼットは不意に顔を伏せ、掌で両目を隠しました。
「ニドルス君……そんな風に思ってくれていたのね……」
思わず、ちょっと涙ぐんでしまったようです。
そこで、リゼルは少し間を置いてから、改めてミゼットに問いました。
「ところで……今度は私の方から、ちょっとプライベートなことをお訊きしてもよろしいでしょうか?」
「……どうぞ」
ミゼットが指先でそっと目許を拭い、面を上げると、リゼルはいつになく真面目な表情で、いきなりとんでもないことを言います。
「父の手記を読んでも解らなかったんですが、結局のところ……あなたと父の関係って、何だったんですか? まさかと思いますが……もしかして、父はあなたの『隠し子』だったんですか?」
その用語を聞くと、ミゼットは思わずプッと噴き出してしまいました。
「あ……。違うんですね?」
「もしそうだったら、あなたは私の可愛い孫娘ということになるわね」
「……あ!」
リゼルは本当に『今、気づいた』という表情です。
ミゼットはひとしきり笑ってから、改めて自分のことを語り始めました。
「局のデータバンクで私のことを調べても、多分、ラルゴやレオーネとは違って、親族の話が全く出て来ないと思うんだけど……実際には、私も決して昔から『天涯孤独の仕事人間』だった訳では無くて、一度は普通に結婚して1男1女を産んだこともあるのよ。
でも、息子の方は就学前に、子供に恵まれなかった兄夫婦の許へ養子に出してしまい、その後で生まれた娘の方も、初等科を卒業する直前に車の事故で夫と一緒に死んでしまったの。それで……ニドルス君は、その娘のクラスメートで、初めての恋人だったのよ」
「それ、初等科の話ですよね?」
リゼルのちょっと狼狽えたような表情が面白かったのか、ミゼットは少し悪戯っぽい笑顔で言葉を続けます。
「ええ。男の子だって、11歳にもなったら初恋ぐらいはするでしょ? まあ、実際には、当人たち同士は『とても仲の良い友人』ぐらいのつもりでいたのかも知れないけど……私の眼には、充分に『初々しい恋人同士
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