【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第5節】元老ミゼットとの、極秘の会話。
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おや)とも言うべき『父の使い魔』から聞いた話ばかりです。もしかすると、本当にただ口下手なだけだったのかも知れませんが……そんな人でしたから、父は生前、貴女についても私には特に何も語ってはいませんでした。
しかし……父が死んだのはもう6年も前のことになりますが……実は、父の御座艦は『唐突に撃沈され、乗組員も大半が死亡した』というだけで、確かに艦橋などは跡形も無く吹っ飛ばされていましたが、必ずしも〈ゆりかご〉のように全体が爆散した訳ではありませんでした。
それで、遺体確保のためにも、かろうじて原形を留めていた「御座艦の残骸」は丸ごと臨時の基地へと曳航されたんですが……それで、艦内を調べた結果、半壊した提督用の私室から、父の個人的な手記が『奇跡的に無傷で』見つかったのだそうです。いわゆる〈血の封印〉が施されていたので、封印の解除は私にしかできなかったんですけどね」
【ちなみに、〈血の封印〉というのは、その封印の解除に「特定の遺伝情報」が必要となるタイプの(普通は、小箱や書物などに対して行使される)封印魔法のことです。
通常の仕様では、封印した本人(および、その一卵性双生児やクローンなど)と「実際にその血を引く息子や娘(つまり、本人と50%まで遺伝子が共通している人物)」にしかその封印を解くことはできません。
(もちろん、充分な魔力があれば、その封印を力ずくで破壊することは可能なのですが、その場合には『自動的に発火して、中のアイテムや情報が失われてしまう』という仕様になっているので、中身が大切なものであれば、当然にそんな乱暴な真似はできません。)
ただし、有効な使い方が限定されている割には、習得がなかなかに難しい魔法なので、一般にはあまり普及しておらず、魔導師たちの間でも「かなり特殊な魔法」と認識されています。】
リゼルはさらにこう続けました。
「だから、その手記は『誰も中を見ていない』という状態のまま保存されていた訳ですが、実際に私が現地に到着し、開封して読んでみると、やはり、その内容は大半が『父自身の日記や備忘録』では無く、私個人に宛てたメッセージでした」
確かに、『自分には双子もクローンもおらず、自分の血を引く子供もこの世に一人しかいない』と解っているのであれば、その子に宛てた「秘密の」メッセージに〈血の封印〉を施すのは、至極合理的な判断であると言って良いでしょう。
「父の性格から考えて、実の娘に面と向かっては、あまり上手く語れずにいた『自分の話』を、ゆっくりと考えながら文章にしたものだったのだろうと思います。あるいは、南方遠征から無事に戻ったら、私にただ一言、『読んでおけ』とだけ言ってそれを手渡すつもりだったのかも知れ
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