暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第5節】元老ミゼットとの、極秘の会話。
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語り始めます。

「そもそもの発端は、親父(おやじ)が酔った勢いで『俺もそろそろ孫の顔が見たい』とか言い出したことで……私も『親孝行になるのなら』と、何かの拍子に舞い込んで来た縁談を、あまり吟味(ぎんみ)もせずに受けてしまったんですが……。
 よく見たら、相手は結構な名家のボンボンで……向こうの父親も『本来なら、女は結婚したら、家庭に入るのが当たり前なのに』みたいな、前時代的な考え方の持ち主で……ぶっちゃけ、あまり上手く行きそうにないことは最初(はな)から目に見えていた結婚だったんですけどね。
 それでも、『ものは試し』とばかりに結婚して、早めに一人産んでみたら、妙に若くて可愛(かわい)女性(ひと)がわざわざ乳母の役に就いて、私の代わりに娘の世話をしてくれまして……正直な話、あの時ばかりは、『名家に(とつ)いで良かったなあ』と思いましたよ。
 ところが、産休明けの直後に、思いがけず親父が殉職しましてね。『次元航行部隊なんだから、時には危険な仕事もある』って話は、最初にしておいたはずだったんですが……あのボンボンは、私の話を真面目に聞いていなかったのか、すっかりビビっちまって……私が増援部隊に参加しようとしたら、『危ないから()めてくれ』とか、ほざきやがったんですよ」
 普通の神経の持ち主であれば、自分の妻にそう言うのは割と当たり前のことなのですが、それでも、リゼルは本当に吐き捨てるような口調で続けました。

「それで、最後(しまい)には、『君は、まだ生まれたばかりの娘ともう死んでしまった父親の、一体どちらが大事なんだ?!』とか言い出しやがったんで、こちらもついカッとなって、『娘はまた産めるけど、親父は一人しかいねえんだよ!』と叫んで、そのまま出て来ちゃったんですよ」
(ええ……。その言い方って、母親として、どうなの……。)
 ミゼットは内心「やや」引いていましたが、まだまだリゼルの口は止まりません。
「その後、南方ではメチャメチャ忙しい毎日が続きましたから、もう婚家のことなんて気にかけている余裕も無くて、ミッドからの私信もすべて着信を拒否していたんですが……そうしたら、しばらくして『ミッド地方法院からの判決状』が実物で届きましてね。
『何度も出頭を求めたが、そちらが拒否し続けたため、やむなく原告の主張に基づいて(かり)判決を出した。下記の内容に不服があるのなら、所定の期日までに、当局にその(むね)の申し立てを行なうように』とかいった内容だったんですが……。こちらは、その時点で『今はもう、それどころじゃない』って状況だったんで、ただ一言、『何もかも、仮判決のとおりで構いません』とだけ返しておいたんですよ」

「そうしたら……まあ、当然の結果なんですが……一方的に離縁されて、娘の親権も剥奪されて、御丁寧に、戸籍上の私の名前
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