【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第5節】元老ミゼットとの、極秘の会話。
[2/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
語り始めます。
「そもそもの発端は、親父が酔った勢いで『俺もそろそろ孫の顔が見たい』とか言い出したことで……私も『親孝行になるのなら』と、何かの拍子に舞い込んで来た縁談を、あまり吟味もせずに受けてしまったんですが……。
よく見たら、相手は結構な名家のボンボンで……向こうの父親も『本来なら、女は結婚したら、家庭に入るのが当たり前なのに』みたいな、前時代的な考え方の持ち主で……ぶっちゃけ、あまり上手く行きそうにないことは最初から目に見えていた結婚だったんですけどね。
それでも、『ものは試し』とばかりに結婚して、早めに一人産んでみたら、妙に若くて可愛い女性がわざわざ乳母の役に就いて、私の代わりに娘の世話をしてくれまして……正直な話、あの時ばかりは、『名家に嫁いで良かったなあ』と思いましたよ。
ところが、産休明けの直後に、思いがけず親父が殉職しましてね。『次元航行部隊なんだから、時には危険な仕事もある』って話は、最初にしておいたはずだったんですが……あのボンボンは、私の話を真面目に聞いていなかったのか、すっかりビビっちまって……私が増援部隊に参加しようとしたら、『危ないから止めてくれ』とか、ほざきやがったんですよ」
普通の神経の持ち主であれば、自分の妻にそう言うのは割と当たり前のことなのですが、それでも、リゼルは本当に吐き捨てるような口調で続けました。
「それで、最後には、『君は、まだ生まれたばかりの娘ともう死んでしまった父親の、一体どちらが大事なんだ?!』とか言い出しやがったんで、こちらもついカッとなって、『娘はまた産めるけど、親父は一人しかいねえんだよ!』と叫んで、そのまま出て来ちゃったんですよ」
(ええ……。その言い方って、母親として、どうなの……。)
ミゼットは内心「やや」引いていましたが、まだまだリゼルの口は止まりません。
「その後、南方ではメチャメチャ忙しい毎日が続きましたから、もう婚家のことなんて気にかけている余裕も無くて、ミッドからの私信もすべて着信を拒否していたんですが……そうしたら、しばらくして『ミッド地方法院からの判決状』が実物で届きましてね。
『何度も出頭を求めたが、そちらが拒否し続けたため、やむなく原告の主張に基づいて仮判決を出した。下記の内容に不服があるのなら、所定の期日までに、当局にその旨の申し立てを行なうように』とかいった内容だったんですが……。こちらは、その時点で『今はもう、それどころじゃない』って状況だったんで、ただ一言、『何もかも、仮判決のとおりで構いません』とだけ返しておいたんですよ」
「そうしたら……まあ、当然の結果なんですが……一方的に離縁されて、娘の親権も剥奪されて、御丁寧に、戸籍上の私の名前
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ