【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第4節】元老レオーネとの、極秘の会話。
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少し遡って、リゼル提督の艦隊がクロノたちよりも一足先に出撃した頃、〈本局〉の「歴代の総代、専用の執務室」では、イストラが立った姿勢のまま「三脳髄へのホットライン」に向かって懸命に呼びかけ続けていました。
よくある二間続きのオフィスですが、扉が開いて、レオーネが入って来たことにすら気がつかないようです。
レオーネは控えの間に「随行者」を待たせたまま、何秒かの間、呆れ顔でその様子を眺めていましたが、じきに待つことにも飽きて、こう言葉をかけました。
「無駄だよ、イストラ。彼等はもう死んでいる」
「なん……だと……」
イストラはゆっくりと振り向き、控えの間に続く扉が開きっ放しになっていることにも気づかぬまま、一拍おいて狂ったように喚き立てます。
「殺したのか? 〈管理局の創設者たち〉を!」
「いつまで『親離れのできない無能な子供』のようなことを言っているつもりだ? あんな毒親は殺されて当たり前だろう!」
「毒親だと? 言うに事欠いて、あの方々を毒親だと?!」
「いい年齢をした子供に自己決定権を与えず、常に監視も怠らず、本当に大切なことは、すべて自分たちだけで、自分たちの都合だけで決めてしまう。そんな存在を毒親と呼ばずに、一体何と呼ぶのだ?」
「だから……殺したのか?」
「ああ。できれば明日にでも殺してやりたいとは思っていたよ。実際には、今朝方、犯罪者どもに先を越されてしまったのだがね」
レオーネはそう言って、甲虫型のマイクロロボットが撮って来た動画を、イストラにも見せました。
「……この女は?」
「おそらく、ジェイル・スカリエッティの戦闘機人だろう。君も『スカリエッティ』の名前ぐらいは聞いていたのではないかね? あるいは、『彼等の犯罪行為に便宜を計ってやるように』とでも指示されていたのかな?」
イストラはそれには答えず、逆に問い返します。
「でも……一体どうやって? あなたたちも、私と同じように脳にチップを埋め込まれているはずだ! 何もかも筒抜けのはずなのに!」
「筒抜けなのは、視覚情報と聴覚情報だけだったからね。最初からそうと解っているのであれば、やりようはあるさ」
レオーネは、沸き上がる怒りを抑えつつ、静かな口調で語り続けました。
「君が総代になって、脳にチップを埋め込まれたのは、たかだか7年半前のことだろう。しかし、私とミゼットの場合は、元老になった時だから、その16年前。ラルゴに至っては、53歳で総代になった時だから、そのさらに16年前のことだ。
君も、この7年半、いろいろと辛かっただろうが、『私たち三人が君ほどには辛くなかった』な
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