【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第4節】元老レオーネとの、極秘の会話。
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それはきっと職務上のものだろうと思っていたのです。まさか、『管理局の創設者たちがまだ生きている』などという話だったとは……」
「まあ、普通は思いつかないだろうね」
レオーネもそう本音を漏らしました。
その後も、ザドヴァンは父イストラについて、ぽつぽつと語り続けました。多少は、減刑を嘆願するような気持ちもあったのかも知れません。
そして、ふと気がつくと、イストラを独りにしてから、とうに1刻以上の時間が経過してしまっていました。イストラからの合図は特にありませんでしたが、二人はちょっと会話を中断して、奥の間を覗いて見ることにします。
しかし、二人で奥の間に入って見ると、イストラは席に着いたまま、すでに絶命していました。手早く書類を仕上げた直後に、みずから毒薬を飲んだようです。
狼狽え騒ぐザドヴァンを他所に、レオーネは冷静にイストラの死亡を確認してから、平然と書類に目を通しました。
「よし。何も問題は無いな」
「問題が無いということは無いでしょう! 仮にも人間が一人、死んでいるんですよ!」
ザドヴァンは思わず大声を上げました。実の父親が自殺した現場を目の当たりにしてしまったのですから、普通の人間ならば動揺するのも無理はありません。
それでも、レオーネは『君は一体何をそんなに動揺しているんだい?』と言わんばかりの冷静な口調でこう返しました。
「問題が無いのは、あくまで書類の話だよ」
それは、「目の前で人間が死ぬこと」になど、もう慣れてしまっている人間の口ぶりです。
(どうして、こんなことに……。)
そこで、ザドヴァンはふと、先ほどレオーネが父に言った言葉を思い起こしました。
『私たちは赦すよ。君が君自身を赦せるかどうかは、また別の問題だがね』
(つまり……父さんは自分自身を赦せなかった、ということか……。)
あえて言い換えれば、この自殺は『イストラは決して「罪を罪とも感じない、本物の悪党」では無かった』ということの証明でもあるのです。
しかし、それは、実のところ、血を分けた息子にとっては何の慰めにもならない事実でした。
「あなたは……こうなると解っていて、父を独りにしたのですか?」
ザドヴァンの口調には、今や非難の色合いすら込められています。それでも、レオーネは平然とこう返しました。
「確信があった訳ではないよ。ただ、これもまた『想定外の出来事』ではなかった、というだけのことだ」
その冷徹さは、ザドヴァンの眼には、およそ人間離れしたものと映りました。
イストラは、少なくとも私生活では「良き父」であり、子供たちとの間にも「親子の確執」など何もありませんでした。
『実際に、悪い
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