【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第4節】元老レオーネとの、極秘の会話。
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レオーネが「意味ありげに」そう言うと、イストラはまたがっくりと首を垂れて、そのままもう何も言葉を返すことができなくなってしまいました。
レオーネはしばらく間を置いてから、最後に「形式的に」こう問いかけます。
「辞任に関する正式な書類の書き方は、解っているね?」
「はい。……隣室で、1刻ほど、お待ちください」
イストラは俯いたまま、力の無い声でそう応えました。
そこで、レオーネはその要求どおり、控えの間に戻って、後ろ手に扉を閉めました。
そこは、基本的に「秘書の仕事部屋」と「一般来客用の応接間」を兼ねた部屋です。イストラの秘書は、すでにレオーネの当て身で気絶させられ、そのままソファーに寝かされていました。
一方、レオーネの「随行者」は、「扉が開け放たれていても、奥の間のイストラの席からは見えないような場所」を選んで立っています。
レオーネは来客用の椅子に腰を下ろすと、思わずひとつ大きく息をつきました。
「やれやれ。久しぶりに少し体を動かしたら、何やら妙に疲れたな」
「今、あなたに倒れられる訳にはいきません。どうぞ御自愛ください」
「相変わらず口調が固いな、君は。……まあ、君もこちらに座りなさい」
レオーネは苦笑しながらも、お気に入りの随行者に席を勧めました。
「では、失礼します」
しかし、その人物が着席すると、レオーネはふと小さく舌を打ち、軽く後悔の言葉を吐きます。
「来客に茶のひとつも出ないとは……やはり、秘書を手っ取り早く黙らせたのは、早計だったか。……うむ。まだしばらくは、目覚めそうにないな」
秘書の女性は意識を失ったまま、今では安らかに熟睡していました。
「若い頃は随分と荒ぶっておられたとは伺っておりましたが、正直なところ、この目で見るまでは、あまり上手く想像できずにおりました」
「良きにつけ悪しきにつけ、人間は年齢ともに変わってゆくものだからね。……イストラも一介の艦長だった頃は、あんな『事なかれ主義者』では無かったんだがなあ……。
先程は、君にもつまらない会話を聞かせてしまったね。だが、君にはイストラの言葉を聞く権利と責任があると思ったんだよ」
「はい。聞かせていただいて良かったと思っています」
今回、レオーネが連れて来た随行者は、管理局〈上層部〉の法務部で要職を務めるザドヴァン・ペルゼスカ(40歳)でした。以前から、時おりレオーネの話し相手などを務めて来た人物ですが、「選りにも選って」と言うべきでしょうか。実は、彼はイストラの長男です。
「父が総代に就任して以来、何か大きな秘密を抱え込んでいることには薄々気づいていました。でも、私も母も妻も子供たちも、
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