【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第4節】元老レオーネとの、極秘の会話。
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、それ以降、彼等の意識はもっぱら「ジェイル・スカリエッティの育成」に向けられていたのです。
そうして、最初の「念話による会談」から十年余の歳月が流れ去った頃には、ラルゴたち三人も『この件は、もう次の世代に託すしか無いのだろうか』と諦めかけていたのですが……。
一連のテロ事件があった新暦51年の末、ラルゴは久々に「三脳髄」から呼び出され、「オルランド・マドリガル議長の玄孫」と名乗る若者リナルド・アリオスティ(28歳)によって、再び「秘密の某所」へと連れて行かれました。
そこで、ラルゴは思いがけず「引責辞任と元老就任」の話を持ちかけられます。
〈三脳髄〉にしてみれば、管理局の威信を保つためには、一連の事件の責任を「誰か」に取らせる必要がありました。そして、もちろん、その最適任者は「総代」です。
しかしながら、ラルゴ・キールは「三年戦争の英雄」として、今なお局員からも一般大衆からも絶大な支持を受けている人物でした。
『ただ辞任させて終わりにするよりも、名誉職に据えてその人気を利用した方が得策だろう』
三脳髄はそう判断したのです。
ラルゴは総代に就任して以来、一貫して「すでに燃え尽きた、従順で無欲な老人」を巧みに演じ続けており、この十五年余で、さしもの「三脳髄」も彼にはすっかり騙されていたのでした。
「しかし、〈元老〉が一人きりでは格好がつかんな」
「やはり、三人いた方が収まりも良いだろう」
「では、ラルゴよ。自分の同僚を二人ほど推薦できるか?」
ラルゴにしてみれば、もう「試合終了」なのかと思って諦めかけていたところに、降って湧いたような「延長戦」の機会です。これに乗らない手はありませんでした。
それでも、ラルゴは慎重に凡庸さを装って、ひとつ質問をします。
「元老というのは、どういった者が適任なのでしょうか?」
「そうだな。まず、階級は中将以上が望ましいが、場合によっては少将でも構わん。お前の功績に免じて、多少の融通はしてやろう。どうせ、ただの名誉職だ。お前が『安穏とした老後』をともに送りたいと思うような友人で構わんぞ」
「もちろん、我々の存在を受け容れられないような者は、こちらとしても容認できないが」
その一言で、ラルゴは『他の二人にもチップが埋め込まれてしまうのだろう』と悟りました。
「局員や一般大衆が『その人ならば』と納得できる程度の功績は必要だが、逆に言えば、俗な評判で選んでしまっても構わん。……そう言えば、三年戦争では、君の他にも、もう一人、『英雄』がいたのではなかったかね?」
この「話の流れ」は、ラルゴにとっては願っても無い展開です。
「ミゼット・クローベル参謀総長ですね。確かに、彼女なら、古い友人でもあります。私の同僚には
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