【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第4節】元老レオーネとの、極秘の会話。
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して不思議では無いのです。
「最善の策が、現実にもう実行できないのであれば、我々は次善の策を選択するより他には無いのだ。それは、解るか?」
レオーネの「正しいけれど、冷たい言葉」に、ザドヴァンはもう黙ってうなずくことしかできませんでした。
「この世には、書かれた法よりも、単なる真実よりも、もっと大切なモノがある。君も、次元世界の安寧と父親の名誉を守りたいのならば、私たちに手を貸せ」
「それは……私も共犯者、ということですか?」
「いや。君たちの世代には、もう罪は無い。すべての旧き罪は、我々三人が背負い、あの世まで持って行こう。我々はすでに老齢だ。どうせもう長くは無い」
レオーネは、もう完全に「覚悟」が出来上がっていました。
(私にも、同等の「覚悟」が求められているのか……。)
それは、普通の人間にとっては、純然たる「重荷」でしかありません。それを背負っているからと言って、何か自分の得になる訳でも無ければ、誰かがそれを正しく評価してくれる訳ですら無いのですから。
(それでも……他にこれを背負える者が、いないのであれば……。)
「我々とて、三脳髄の話を『永遠に』闇に葬り去ろうと言うのでは無い。ただ、彼等の存在を公開するのは……この件に関与していた者たちが粗方この世を去ってから……今回の事件が『生の記憶』ではなく、『歴史』になってからの方が良いだろうと言っているだけなのだ。
あるいは、その頃には、君自身ももう生きてはいないのかも知れないが、それでも、我々の子孫がいつの日にか『本当の歴史』を、闇の部分まで含めて冷静に語れるようになるためには、誰かがその日まで『世の裏側で』これを正しく伝えて行かねばならぬ。
そのためにも、ザドヴァン・ペルゼスカよ。私たちに手を貸してほしい。私たち三人には、もうそのための時間が残されてはいないのだ」
「解りました。非才の身ではありますが、そのために力を尽くすことを、ここにお約束します」
ザドヴァンもついに「覚悟」を完了して、そう応えました。レオーネも満足げにうなずき、言葉を続けます。
「ありがとう。君がそう言ってくれれば、私たちも安心して『目の前の問題』に専念できるというものだ。……あとの細かい話は、リナルドと相談してほしい」
そうした会話がすべて終わってから、ようやくイストラの秘書が目を覚ましました。慌てて奥の間を覗き込むなり、案の定、悲鳴を上げます。
それでも、レオーネは冷静に『直ちに医師と法務官を呼んで、死亡診断書を書かせ、服毒自殺で間違いないことを証明させなさい』と、彼女に指示を出しました。
秘書はすぐに「元老」の命令に従い、レオーネとザドヴァンの立ち会いの許に、医師と法務官はそれ
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