【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第3節】ゆりかご事件におけるクロノ提督の動向。
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か!」
リゼルは無言でうなずき、今度は〈ゆりかご〉の船腹の拡大映像をクロノに見せました。なのはたちが最後に使った「脱出口」が今も開かれたままになっています。
相対的には「小さな非常口」のようにも見えますが、〈ゆりかご〉全体の巨大さから考えると、あれでも小型艦が艦首を突っ込むには充分な大きさの穴です。
「あの開口部から互いに逆方向へ向けて、二隻を連続して突っ込ませるわ」
「本当に……もう止められないのか?」
クロノの狼狽を他所に、リゼルは悲しげにすら見えるほどの落ち着いた表情で語りました。
「この仕事はね、クロノ。どう頑張っても、『誰か』が泥をかぶらざるを得ないヨゴレ仕事なんだよ。私は……あなたに泥をかぶらせるぐらいなら、自分がかぶった方が良い」
「君の行動は『司令官の指揮に背いた』という形になる。減給処分どころでは済まないぞ!」
「まあ、降格処分が妥当なところでしょうね」
リゼルはまるで他人事のように、そう言ってのけます。
そこで、クロノはふと気がつきました。
「君の行動は……すべて、ミゼット統幕議長の指示によるものなのか?」
しかし、リゼルはその質問に「直接には」答えません。
「新人提督が功を焦って命令を無視した、という筋書きにしておいてくれれば、私はそれで良いよ」
「……リゼル!」
「クロノはこのまま『日の当たる道』を進んで。日陰を行くのは私だけで充分だから。じゃあ、今言った筋書きどおりに、よろしくね」
それを最後に、通信は一方的に切られてしまいました。
クロノがやむなく遮蔽スクリーンを解除すると、即座に艦長がこう問い質して来ました。
「提督、あの小型艦は一体?」
〈クラウディア〉の艦橋のメインスクリーンには、今しも二隻の小型艦が互いに別の方向から〈ゆりかご〉に急接近してゆく様子が映し出されています。
クロノは一瞬の躊躇の後、やはりリゼルの言った筋書きに「半分だけ」乗ることにしました。
「リゼル一佐の独断専行を止められなかったのは、私の失態だが……ともあれ、あれらは爆発物を満載した特攻専用の無人艦だ。総員に告げる! 爆発の衝撃と敵艦の反撃に備えよ!」
(リゼル。僕は、了解はしたが、納得はしていないからな!)
しかし、結局のところ、〈ゆりかご〉からの反撃は一切ありませんでした。
二隻の突撃艦は互いに別の方向から〈ゆりかご〉の同じ箇所に特攻し、揃って〈ゆりかご〉の腹の奥深くにまで潜り込んでから、艦尾の側と艦首の側とで、ほぼ同時に自爆します。
そして、〈ゆりかご〉は意外なほど呆気なく、まるで「張りぼて」か何かのように、見事なまでに木っ端微塵に
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