【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第3節】ゆりかご事件におけるクロノ提督の動向。
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リーンを指さしました。そこには、いつの間にか、イストラ・ペルゼスカ総代の姿が大写しになっています。
「クロノ・ハラオウン提督に告げる!」
イストラの口調は、何故か妙に狼狽気味でした。それを不審に思いながらも、クロノは作法どおりに席を立ち、敬礼してそれに応えます。
しかし、上級大将の言葉は、全く予想外のものでした。
「私は『総代』の名において、貴殿の出撃を許可しない。直ちに艦隊の編成を中止せよ。無論、〈アルカンシェル〉の搭載も許可できない!」
(はあ? ナニ言ってんだ、こいつ。)
というのが、クロノの正直な気持ちでしたが、さすがに、そのまま声に出す訳には行きません。クロノはやや格式ばった口調で「強く」不服を述べました。
「その命令は承服できません! あの伝説の〈ゆりかご〉が地の底から蘇ったのですよ。その事実の重大さが解らないのですか?!」
たかが一介の提督ごときに正面から反論されるとは思ってもいなかったのでしょう。イストラは一瞬、クロノの気迫に怯むような表情を浮かべながらも、次の瞬間には顔を赤くしてまた声を荒らげました。
「まだ情報が不足しておる。こんな何も解らない状況で、そんな重大な決定など認められるはずが無いだろう!」
「状況が確定してからでは、もう遅いのです! お忘れかも知れませんが、ここからミッドまでは最大船速でも4時間はかかるのですよ!」
すると、イストラが顔を真っ赤にしてクロノを睨みつけながら反論の言葉を探しているうちに、どこからともなく「朗らかな笑い声」が響いて来ました。
(何だ? ……と言うか、誰だ? この状況で。)
クロノやイストラを始めとする皆々の注意を充分に惹きつけてから、女性と思しき「笑い声の主」はこう言葉を発します。
「退きなさい、イストラ。『あなたの負け』よ」
それは、仮にも「総代」を相手に、まるで母親が幼子に教え諭すような、あからさまな「上から目線」の口調でした。
「なっ、何者だぁ?!」
「あら。私の声も解らないだなんて、あなたはもう随分と疲れてしまっているようね」
その脇で、今度は男性の老人の声がします。
「すべての回線につなげ」
「あ、あの……『すべて』と、おっしゃいますと?(恐怖)」
「文字どおり、〈本局〉内部のすべての回線に、だ!(威圧)」
担当者が恐怖に震えながらもその声に従うと、ようやく彼等の映像が出ました。
〈クラウディア〉の艦橋でも、メインスクリーンの画面が左右に分割され、イストラ上級大将は左側に寄って、右側には席に着いた三人の老人の姿が映し出されます。
管理局に、彼等三人の顔を知らない者など一人もいません
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