暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第3節】ゆりかご事件におけるクロノ提督の動向。
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砕け散ってしまいました。おそらく、最大の破片ですら全長はもう20メートルにも満たないでしょう。
(ええ……。嘘だろ、おい……。)
 クロノは思わず、そんな声を上げてしまいそうになりました。

 確かに、『なのはやヴィータが事前にいろいろと壊しておいてくれたから』という事情もあったのでしょう。しかし、それ以前の問題として、やはり「当たり前の自動防衛システム」が最初から全く機能していなかったようです。
 あるいは、ユーノは『あまり期待しすぎない方が良い』などと言っていましたが、実のところ、「聖王オリヴィエによる内部破壊」が、こちらの想像をはるかに上回るレベルのものだったのかも知れません。
 結果として、〈アルカンシェル〉は使わずに済んだのですが、その代わり、〈ゆりかご〉を無傷で手に入れるという計画も「水の泡」と化してしまったのでした。

 クロノはとっさに、『こうなったら、せめて〈本局〉に待機中の武装隊を〈クラウディア〉に転送し、急ぎ「ゆりかごの破片」の回収任務に当たらせよう』と考えました。
 しかし、まるで『それをも阻止しよう』とするかのように、〈本局〉のミゼット統幕議長からは即座に、クロノ提督に帰還命令が(くだ)されます。

『四時間ほど前、フェイト執務官らがミッド地上で、スカリエッティのアジトからメガーヌ准尉ら四名の「昏睡者」の身柄を無事に確保したが、彼等は八年前の「戦闘機人事件」の重要参考人でもあり、何としても生きたまま目覚めさせたい。
 彼等を収容した医療船が、すでに軌道上に上がって来ているので、クロノ提督の艦隊は(すみ)やかにこれと合流し、その医療船を〈本局〉まで間違いなく護送してほしい』

 帰還命令の理由は以上のようなものでしたが、本当にただそれだけのことならば、全艦そろって帰還する必要など特に無いはずです。おそらく、この理由はただの名目なのでしょう。
 それでも、クロノの立場では「元老の命令」に逆らうこともできません。いろいろと思うところはありましたが、クロノ提督はミゼット統幕議長からの命令のとおりに、医療船と合流し、全艦を率いて〈本局〉に帰投したのでした。
 クロノたち一行が「イストラ上級大将の急死」について知らされたのは、その翌日になってからのことです。


 さて、結果としては、今回の「ゆりかご事件」における犠牲者の総数は予想をはるかに下回り、最小限のものとなりました。存在それ自体が極秘である〈三脳髄〉まで数に含めても、イストラ、レジアス、ドゥーエ、ゼストなど、「指を折って数えられる程度の人数」でしかありません。
 しかし、それは結果論です。
 もしも〈ゆりかご〉がミッドチルダの地表に向けて主砲を使っていたら、一発で首都クラナガンは「丸ごと」虚数空間に消え去っていたことでしょう。千六百年ほど前
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