それぞれの攻防
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ムーンさん。ただその表情は笑っており、こちらにもその不気味さが伝わってくるほどでした。
「相当な自信があるってことなんでしょうね」
ミラさんのその言葉通り、ムーンさんはシリルたちの動きを気にすることなく攻撃へと出てきました。それはまるで陸地を移動しているかのような速度を見せており、あっという間にシリルの間合いを−−−
「え?」
通りすぎ、その後ろに来ていたジュビアさんの目の前へと現れました。
「ジュビア!!」
「あいつ速い!!」
瞬きもしていない・・・いえ、できないほどの速度で間合いに入ったムーンさん。彼女はそのまま拳を繰り出して来ましたが、ジュビアさんはそれを間一髪で受け止めました。
「さすが!!」
「違う!!これは・・・」
見事に攻撃を防いだかに思えたジュビアさん。しかし、これをムーンさんは想定していたのでしょう。宙返りのように身体を切り返すと、ジュビアさんの顔へと蹴りを放ちます。
「うっ!!」
しかしこれもジュビアさんはギリギリで顔を逸らせて最小限に止めます。クリーンヒットは避けたように見えた攻防、ですがこれは大魔闘演武の競技パート、通常のバトルとは異なったものになっています。
『あぁっと!!ジュビアの口から魔水晶が溢れたぁ!!』
敵の狙いは初めからこれだったのでしょう、顔を逸らせたジュビアさんとそれに合わせるように酸素魔水晶を弾いたムーンさん。敵の干渉により口からそれが外れたため、10秒間のカウントダウンが始まります。
「ジュビアさん!!」
「まずい!!」
慌てて落ちていこうとするそれを取りに行くシリルとジュビアさん。ですが、それよりも早くその魔水晶はムーンさんの手へと渡ってしまいました。
『10秒経過!!ジュビア選手退場カボ!!』
ルールに乗っ取り失格になってしまうジュビアさん。フィールドから離れた彼女は私たちのすぐ後ろへと転送されて来ました。
「すみません、皆さん」
申し訳なさそうに顔を伏せるジュビアさん。でも、彼女を責める人は誰もいません。その理由は言うまでもありませんでした。
「なんだいあいつ!!」
「シリルとジュビアが水中で反応できないなんて」
シリルたちの得意なフィールドだったはずなのにまるで二人が反応できていなかった。これには全員が動揺してしまいます。
「シリル」
わずか数秒のうちに数的有利が崩れてしまいました。これにはシリルも動揺しているようで思わず目が泳いでいるように見えます。そんな彼を見て、私も不安から手を握り合わせていました。
第三者side
シェリアたちのすぐ目の前へと
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