第4話:勇者の計算外その1
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
セインperspective
ギシギシとベッドがきしむ。
僕は魔法使いのリサを抱いていた。
近くには格闘家のネイと聖職者のソアラが転がっている。
「もうダメ!限界!」
「何だよ、もうへばったのか?」
失神したリサを放り出し僕はベッドの端に腰掛けた。
白い肌を露にした3人を眺めてから鼻で笑う。
ハッキリ言おう。僕は誰よりも優秀だ。
身体、知能、性格、能力、あらゆる面で非の打ち所が無い男。
しかも、僕は勇者だ。
勇者である僕は、魔王と戦う運命を背負わされている。
僕は大陸に存在するいずれかの聖武具を手にし、魔王との戦いに勝利しなければならない。
非常に面倒ではあるが、その分手にする名声と金は膨大だ。
既に取り入ろうとする貴族が声を掛けて来ている。
そんな僕は最高のスキルを手に入れた。
誘惑の魔眼:異性を所にするレアスキルだ。
これを発現した時、僕は心の底から歓喜した。
上手く運べば手の届かなかった令嬢を食い放題となるだろう。それどころかこの国の王女だって。
まったく僕の人生は最高だな。
あはははははっ。
「魔王軍の幹部が……死んだ?」
僕はリビアの領地にある聖武具の神殿に向かう途中に絡んで来た奇妙な村長から話を聞いて愕然とする。
聖武具を手に入れ次第討伐する筈だった魔王軍の幹部が勝手に死んだのだ。話が違うじゃないか。
「変わった服を着た少女が突然急に現れてくれて、見慣れぬ剣を持ってわしや村の者達を老若男女問わず犯した魔族の男共をバッタバッタと粉々に斬って下さったんじゃ」
嬉々として語る村長の話を聞きながら静かに歯軋りする。内心で憤怒の炎が燃え盛っていた。
聖武具を手に入れ次第、その魔王軍の幹部退治で僕は華々しく勇者としてデビューする筈だったんだ。
……いや……本当にそうか?
そういう予定だったか?
違うな、これは魔王軍の幹部がこの村の近くにいる事を教えなかった国の責任だ。
とは言え、どこの誰かは知らないが、ふざけた真似をしてくれたな。
村長と適当に雑談を交わしてから村を出ようとしたが、
「ところで、そこの屑の山、いかに処分する?」
「あ!どうしよう重くて運べないぞ」
「ここで焼いちゃう?」
僕はリサに命じた。
「やれ」
すると、僕の到着を待たずにくたばりやがった変態魔族共が炎に包まれた。
まるで僕の憤怒の炎の様に。
僕の獲物を横取りしやがってーーーーー。
どんなバカだ!?
「セイン、機嫌が悪いの?」
「そんな事無いよ」
「なぁ、魔族なんかほっておいて宿で気持ち良い事しようぜ」
「ネイは黙ってくれるかな」
「それにしても誰があの魔族を全て倒したのでしょうか。普通の冒険家では手も足も出ない相手なのですが」
「まぁいいじゃ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ