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イベリス
第百二十四話 相手の好みその六

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「何でもね」
「そうしていいのね」
「ええ、別に犯罪とか弱み握られてゥとかじゃないわよね」
「弱みって何よ」
「だから何かあってね」
 それでというのだ。
「脅されてるとか」
「ないわよ」
 実際に心当たりがないのですぐに答えられた。
「貯金が出来た位よ」
「無駄遣いはしないでね」
「してないし」
「それじゃあいいけれどね」
「別にね」
 これといってとだ、咲はまた言った。
「犯罪とかしてないから」
「それじゃあね」
「太ったり痩せてもないし」
「ぱっと見変わってないわね」
「体重も全然変わってないわ」
「というかちょっと痩せてない?」
「体重変わってないわよ」 
 咲はすぐに答えた。
「別にね」
「じゃあ贅肉落ちて筋肉ついたのね」
「運動してないのに」
「歩く時間増えたでしょ」
 中学生の頃までと比べてというのだ。
「高校に入ってから」
「そういえばそうね」
 咲も言われて頷いた。
「家から駅まで歩いて駅から学校まで歩いて」
「アルバイトにも行くでしょ」
「何かと歩いてるわ」
「愛ちゃんと一緒に遊びに行ったりもしてね」
「東京のあちこち歩いてるわ」
「歩いた分だけよ」
「贅肉落ちて筋肉ついてるの」
「歩くだけでも結構な運動なのよ」
 それになるというのだ。
「だかららね」
「それでなのね」
「あんた体重変わってないけれど」
「筋肉はついてるのね」
「そうよ、ただずっと歩いていないと」
 さもないと、とだ。母はこうも言った。
「中年になってから太るから」
「そうなるの」
「中年になったら新陳代謝が落ちてね」
 そうしてというのだ。
「油断したらよ」
「すぐに太るの」
「そうなるのよ」
「だから中年で太ってる人多いのね」
「男の人でも女の人でもね」
「成程ね」
「ただ日本人の太り方はましで」 
 そう言ってよくてというのだ。
「アメリカ人とかね」
「凄い太り方よね」
「あれは食べものもね」
「問題あるわよね」
「食べてもね」
 そうしてもというのだ。
「あまりカロリーの高いものだと」
「ああした太り方するのね」
「よくこのことお話してるるでしょ」
「そうよね、高校に入ってから」
 咲はその通りと答えた。
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