第百二十四話 相手の好みその二
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「保って長所をな」
「伸ばすことですね」
「そうしていけばいいさ」
「短所をなおすんでなくて」
「そうすべき時と長所を伸ばすべき時があってな」
「今の私は、なんですね」
「ああ、長所をな」
そちらをというのだ。
「上げていってくれよ」
「わかりました、そうすればですね」
「嬢ちゃんが思ってる人にもな」
「そうなりますか」
「ああ、服装はもうそれでな」
制服姿の先を見て言った。
「問題なしだよ、ただスカートの丈はな」
「今風に短くしてますが」
折ってそうしている、これは学校の皆もそうしているので別に咲だけのことではなく学校では誰も言わないことだ。
「駄目ですか」
「もうちょっと長くしてもな」
「いいんですね」
「ああ」
そうだというのだ。
「本当にな」
「そうですか」
「ただ敢えて言う位だな」
スカートの丈のことはというのだ。
「そこは」
「別にこだわるまではですか」
「いかないな」
そうだというのだ。
「別にな」
「そうですか」
「ああ、あの人は清楚好きでな」
「露出は控えめですね」
「真面目なところが出てな」
それでというのだ。
「そうなってるんだよ」
「そうなんですね、それと」
ここで咲は運命の言葉を出した、自覚しないでそうした。それが彼女の人生にとって一つの大きな経験になることに対して。
「あの人のお好きなものは」
「食べものかい?」
「ものとか。お花とか」
「食べものはハンバーガーとかお握りか」
「そうしたものがお好きですか」
「嫌いなものは鶏の皮って言ってたな」
マスターはまずは食べものの話をした。
「ズボンのベルト集めが趣味でな」
「それがお好きで」
「それで花はヒヤシンスか」
花も話もした。
「確か」
「わかりました」
全てとだ、咲は答えた。
「それじゃあ」
「ああ、全部プレゼントしてか」
「勇気を出して」
そしてというのだ。
「告白します」
「そうするんだな」
「絶対に」
「告白するのかい」
マスターは咲のその言葉を聞いて言った。
「そうするんだな」
「はい、そう考えています」
「それじゃあな」
「やってみることですか」
「ああ、ただ告白するのもな」
マスターはこれまで生きてきて見てきたことから話した。
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