第四十二話 虚無その十八
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「そしてです」
「そのうえでだね」
「わかりました、実は僕もこれまでは」
「希望を意識していなかったんだ」
「感じたこともなかったです」
「そうだったんだね」
「ですが」
そうであったのがというのだ。
「今はです」
「変わって」
「そしてです」
「希望を持って」
「お話出来ます、ですから」
それ故にというのだ。
「牙暁さんにもお話出来ます」
「希望を持つ様にとだね」
「そうです、世の中何かとありますが」
それでもというのだ。
「希望はです」
「人と共にある」
「常に。昴流君を解放出来て」
彼の運命のしがらみからというのだ。
「はじめてです」
「希望を持てたんだね」
「そうなってです」
そしてというのだ。
「お話も出来ます、まさか本当にです」
「彼をしがらみからだね」
「解放出来るとは」
「危ういと思っていなかったんだ」
「あの時最後の力で言ったんです」
それを振り絞ってというのだ。
「昴流君の耳元で」
「好きな人なんていないと」
「あの時何とかです」
死ぬその間際でというのだ。
「言えたらと思っていましたが」
「それが言えて」
「希望を持てました」
「そうなんだ」
「昴流君は望んでいなかった言葉ですが」
「星史郎さんに好きと言ってもらいたかったんだね」
「そして」
そのうえでというのだ。
「自分がです」
「桜塚護になる」
「そうなることをです」
「望んでいたんだね」
「ですがそれは」
「彼を幸せにするか」
「桜塚護は暗殺者ですから」
それ故にというのだ。
「優しい昴流君ではとても」
「耐えられないね」
「北都さんもでしたし」
彼女にしてもというのだ。
「僕は北都さんを殺すことになり」
「彼にもああ答えたね」
「そうです、それでです」
「彼は解放されたから」
「それを見てです」
それでというのだ。
「希望が持てる様になりました」
「そうなんだね」
「ではその希望を」
「僕にもだね」
「持って頂いて」
「託してもくれるんだね」
「お願い出来ますよ」
「僕でよかったら」
これが牙暁の今の返事だった。
「そうさせてもらうよ」
「それでは」
「地の龍の皆にね」
「夢の中でお会いして」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「託していくよ」
「お任せします、では」
「これからだね」
「僕は暫くこちらにいますので」
「また何かあれば」
「来て下さい」
「それではね」
星史郎に応えた、そしてだった。
今は夢の中に消えた、牙暁はその彼を見送り。
夢の中を歩いていった、そうして彼に託された希望を仲間達に渡す為に動いていくのだった。その顔は以前より明るかった。
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