暁 〜小説投稿サイト〜
X ーthe another storyー
第四十二話 虚無その十五

[8]前話 [2]次話
「けれどそれと共にね」
「美しくもありますね」
「地球を穢すけれど」
「清めもしますね」
「しかもどちらも地表だけのことで」
「地球全体から見ますと」
「些細なことだよ、醜く美しく小さい」
 星史郎に目を閉じて話した。
「それが人間だよ」
「それで、ですね」
「人間を滅ぼしてもね」
「何でもないですね」
「むしろそれに巻き込まれる多くの命のことを考えると」
「滅ぼせないですね」
「とても。けれど」
 それでもとだ、牙暁は話した。
「もう一人のあの人はね」
「ご自身の身体、そしてお仕事のことを怨み」
「あの人の無意識からそれが出て」
「人格となったもので」
「そしてね」
 そのうえでというのだった。
「あの人は地表だけのことでも」
「全てをですね」
「滅ぼすつもりだよ、この世の全てを憎んでいるから」
 それ故にというのだ、牙暁はこのことをはっきりと認識していた。そうしてそのうえで星史郎に語るのだった。
「自分をその様にしている世界も人間もね」
「滅ぼして」
「自分の気持ちを晴らすつもりだよ」
「僕は人間のことに興味はなかったですし今もそうですが」
「それでもだね」
「庚さんもお友達ですから」
 だからだというのだ。
「応援させて頂きます。必ずです」
「庚はだね」
「お姉さんを救って下さい、では」
「これでだね」
「僕はあちらの世界に行きます」
 何の淀みもなく言うのだった。
「そうします」
「少し待ってくれるかな」
「見て欲しいですか」
「皆のこれからの戦いと」
 自分に背を向けようとした星史郎に告げた。
「見るもの、得るものをね」
「見ることですか」
「それからでどうかな」
 こう言うのだった。
「暫くは」
「そうですね」
 星史郎は立ち止った、そして。
 牙暁に向き直ってだ、そのうえで彼に答えた。
「北都さんとお会いするのは出来ませんが」
「それでもだね」
「まだこの世に留まり」
 そうしてというのだ。
「見守らせて頂きます」
「そうしてくれるね」
「思えば地の龍の皆さんは友達ですから」
「庚もだね」
「その最後までです」
 戦いが終わるまではというのだ。
「見守ることもです」
「友達ならだね」
「すべきですね」
「それじゃあ」
「あちらには何時でも行けます」
 こう牙暁に答えた。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ