第四十二話 虚無その十五
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「けれどそれと共にね」
「美しくもありますね」
「地球を穢すけれど」
「清めもしますね」
「しかもどちらも地表だけのことで」
「地球全体から見ますと」
「些細なことだよ、醜く美しく小さい」
星史郎に目を閉じて話した。
「それが人間だよ」
「それで、ですね」
「人間を滅ぼしてもね」
「何でもないですね」
「むしろそれに巻き込まれる多くの命のことを考えると」
「滅ぼせないですね」
「とても。けれど」
それでもとだ、牙暁は話した。
「もう一人のあの人はね」
「ご自身の身体、そしてお仕事のことを怨み」
「あの人の無意識からそれが出て」
「人格となったもので」
「そしてね」
そのうえでというのだった。
「あの人は地表だけのことでも」
「全てをですね」
「滅ぼすつもりだよ、この世の全てを憎んでいるから」
それ故にというのだ、牙暁はこのことをはっきりと認識していた。そうしてそのうえで星史郎に語るのだった。
「自分をその様にしている世界も人間もね」
「滅ぼして」
「自分の気持ちを晴らすつもりだよ」
「僕は人間のことに興味はなかったですし今もそうですが」
「それでもだね」
「庚さんもお友達ですから」
だからだというのだ。
「応援させて頂きます。必ずです」
「庚はだね」
「お姉さんを救って下さい、では」
「これでだね」
「僕はあちらの世界に行きます」
何の淀みもなく言うのだった。
「そうします」
「少し待ってくれるかな」
「見て欲しいですか」
「皆のこれからの戦いと」
自分に背を向けようとした星史郎に告げた。
「見るもの、得るものをね」
「見ることですか」
「それからでどうかな」
こう言うのだった。
「暫くは」
「そうですね」
星史郎は立ち止った、そして。
牙暁に向き直ってだ、そのうえで彼に答えた。
「北都さんとお会いするのは出来ませんが」
「それでもだね」
「まだこの世に留まり」
そうしてというのだ。
「見守らせて頂きます」
「そうしてくれるね」
「思えば地の龍の皆さんは友達ですから」
「庚もだね」
「その最後までです」
戦いが終わるまではというのだ。
「見守ることもです」
「友達ならだね」
「すべきですね」
「それじゃあ」
「あちらには何時でも行けます」
こう牙暁に答えた。
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