第百二話 自然環境もその十
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「忘れられないわね」
「だから九州組はな」
「よくそう言ってるのね」
「ああ、バケモノに負けたってな」
そのバケモノが誰かは言うまでもなかった。
「今も言ってるよ」
「大谷さんは特別凄いわね」
「それで大谷さんの広告がな」
まさにそれがというのだ。
「ここにな」
「あったのね」
「それで本屋さんに行くとな」
越智はその場所のことも話した。
「紀伊ノ国屋書店がな」
「大谷書店になってたの」
「もう入ったらな」
梅田でも有名なその本屋がというのだ。
「大谷さん一色だったよ」
「凄いわね」
「もう見渡す限りな」
それこそというのだ。
「大谷さんだったよ」
「あそこがそうなるってね」
「凄いよな」
「ええ、あんな人がこの世にいて」
そしてとだ、富美子はしみじみとした口調で言った。
「それで観られるなんて」
「幸せだよな」
「何かソフトバンクファンの子達も」
恐ろしいまでの大逆転劇を目の前で見せられトラウマにさえなっている彼等ですらというのだった。
「嫌いじゃないみたいね」
「素直に凄いって言ってるな」
「そうよね」
「実際にな」
「普通じゃないからね、大谷さんって」
「投打両方で桁が違うんだぞ」
「そんな人だと」
「脱帽するしかないな」
「それで負けても脱帽するのね」
「性格もな」
こちらもというのだ。
「謙虚で野球に真面目で」
「ストイックでね」
「あんな人だと」
「もう脱帽するしかないな」
「負けてもね、阪神も」
このチームもというのだ。
「壮行試合で物凄かったけれどね」
「人間には思えなかったよ」
越智は心から思いこの言葉を出した。
「片手で片膝折ってな」
「それでホームランなんてね」
「しかもスリーラン二発だ」
合わせて六点だ、阪神は文字通り大谷翔平一人によって完膚なきまでに倒されてしまったのがその試合だった。
「凄過ぎたな」
「本当にね、素直に凄いと思ったけど」
「その思いをな」
「あの時のソフトバンクファンの人達も思ったのね」
「俺達は一試合だったけれどな」
壮行試合だけだったというのだ。
「あの人達はな」
「シーズン全体で味わったのよね」
「ああ、だからな」
それだけにというのだ。
「俺達とは味わった思いが違うな」
「そうよね、十一・五ゲーム差ひっくり返すとかね」
「普通に有り得ないだろ」
「本当にね、そりゃ受けたトラウマも」
「俺達とは違うな」
「もうね、ただWBCは」
「大活躍でな」
まさに投打両方でだ。
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