第三部 1979年
曙計画の結末
篁家訪問 その1
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戦術歩行戦闘機。
マサキが作った八卦ロボとの大きな違いは、その操縦方法であった。
衛士強化装備という特定のパイロットスーツから測定した脳波や体電流。
そこから、装着者の意思を数値化、蓄積されたデータを基に次に行う操作を予測。
機体の予備動作に、反映させるというものである。
一連の動作を間接思考制御と称されるものであった。
この高度な情報反映は万人が成功するものではなかった。
思うに、戦闘機パイロットであったユルゲンやヤウクなどが、機種変更を成功させた理由。
それは、BETA戦争初期の段階であったために、ソ連側から丁寧な指導を受けられた為であろう。
陸軍下士官出身のクリューガー、ヘリ操縦士のヘンペルも同じであろう。
第二次大戦時から婦人兵を重用したソ連であっても、婦人操縦士の割合が少ないのは、過酷な訓練故ではないか。
最前線になりかけていた東ドイツでも、婦人操縦士は指折り数えるほどでしかなかった。
アイリスディーナやベアトリクス、ユルゲンの同級生であるツァリーツェ・ヴィークマン。
いずれの人物に共通するのは運動神経が抜群の人物であるという事だ。
ヴィークマンに関して、ユルゲンから聞いた話によれば。
彼女は、柔道・空手の黒帯で、ミュンヘン五輪の強化選手候補であった。
国家保安省の陰謀に巻き込まれ、あらぬ薬物使用の疑いを掛けられ、柔道家の夢を諦めたという。
あの一見すると鈍そうなマライも、聞いたところによれば、身体能力は優れているという。
人は見かけによらぬものだと、マサキは心底驚いたものであった。
アイリスディーナは、幼少のみぎりから水泳に慣れ親しみ、県大会に出るほどの実力の持ち主だった。
(東ドイツの行政単位は、1953年以降、州制度から郡県制になった)
ベアトリクスとの出会いは、シンクロナイズドのペアを組んだことからだという。
ユルゲンとのなれそめも、その水泳に関連するものだった。
もしBETA戦争がなければ、大学か実業団に入っていたであろう。
今頃アイリスディーナは、ベアトリクスと一緒に大学で、教職の勉強をしていたかもしれない。
厳めしい迷彩服など着ずに、保母や幼稚園教諭として児童をあやしていたのかもしれない。
BETAという宇宙怪獣が、可憐な少女から、未来を奪うとは……
マサキは、つくづくBETAという存在が憎くなった。
グレートゼオライマーには、自分が作った八卦ロボのあらゆる特徴を盛り込むつもりだ。
これが完成すれば、惑星の一つや二つは簡単に消せるだろう。
そうすればBETAの前線基地はおろか、母星も滅ぼせよう。
マサキは、アイリスディーナを援助してやるのが、楽しくて仕方なかった。
特に地球征服の前段階としての東ドイツへの工作という理由を忘れて、若くて美しい彼
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