第七十七話 おみちの本その二十六
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「何でも聞いてね、答えられることなら答えさせてもらうから」
「答えられるならですか?」
「私もまだまだ不勉強だから」
このことは自覚しています。
「それでよ」
「先輩でもですか?」
「私でもって私まだ大学に入ったばかりよ」
「教会の娘さんですよね」
「教会に生まれても何十年もいる人と比べたら」
それこそです。
「まだまだよ、私は若輩よ」
「教会の娘さんでもですか」
「そうよ、七十でこれからって言う人がおられるのよ」
おみちの世界ではです。
「それだとね」
「まだまだですか」
「知らないことの方がずっと多いわよ」
「あの、経典も教祖伝もずっと読まれていて」
新一君はわからないといったお顔で言ってきました。
「他にもおみちの本を」
「だからそうした本を読ませてもらうこともいいけれど」
私はまた新一君にこうお話しました。
「大事なのは実践でね」
「そちらで、ですか」
「そう、経験がね」
「大事なんですね」
「一番ね、だからね」
私は新一君にお話しました。
「私はね」
「まだまだっていうんですか」
「そうよ、私なんてまだまだよ」
本当にです。
「十八年しか生きてないから」
「七十でさあこれからって世界ですと」
「はじまってもいないわよ」
「まあ人間二十五歳で人生の暁っていいますしね」
「何その言葉」
「歌舞伎の台詞なんです」
また濃いものを出してきたと思いました。
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