第九十話
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第九十話 必ず死ぬのが
博士は小田切君とタロ、ライゾウにさらに言った。
「わしは違うがこの世のあらゆる生あるものは死ぬ」
「博士は神様になりますからね」
「僕達の認識で言うとね」
「そうなるからな」
「うむ、だからわしは死なぬが」
それでもというのだ。
「やはりな」
「神様でないとですね」
小田切君が応えた。
「絶対に死にますね」
「それは避けられん」
「例え不老不死になっても」
「仙人もこの世では限りある」
その命はというのだ。
「魂は不滅でもな」
「身体はそうはいかないですね」
「一万年も経てばな」
それだけの歳月を経ればというのだ。
「やはりな」
「死にますか」
「うむ」
そうなるというのだ。
「どうしてもな」
「そうなんですね」
「だからな」
博士はあらためて言った。
「死ぬ時は大事じゃ」
「出来るだけ穏やかで、ですね」
「笑顔で死ねたらな」
それが出来ればというのだ。
「これ以上ないまでにじゃ」
「いいんですね」
「わしはそう思う」
「穏やかに死ねると幸せでしょうか」
「幸せじゃ」
博士は断言した。
「それだけでな」
「そうなんですね」
「最後だけあってな」
「その生の」
「無限に転生してもその生ではそれで最後じゃ」
「それならですね」
「やはり穏やかに、笑顔で死ねればな」
そうであればというのだ。
「最高じゃ」
「そういうことですね」
「小田切君達もな、その時はな」
「笑顔で、ですか」
「死ねる様にな」
こう小田切君達に言うのだった。そんな話を焼き肉を食べマッコリを飲みつついささか神妙な顔で話したのだった。
第九十話 完
2023・8・18
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