第十二幕その十一
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「魔法はね」
「使うべきね」
「科学も錬金術もそうで」
そしてというのです。
「他の学問もね」
「自分の為には使わないのね」
「僕はそれで生計を立てられているから」
学問でというのです。
「もうそれでね」
「充分なのね」
「そうだよ」
「兄さんらしい考えね、無欲で」
「こうした無欲はいいよね」
「ええ、ただね」
それでもと返すサラでした。
「何度も言うけれどお付き合いに縁がないというのは」
「そう考えることはなんだ」
「本当に駄目でね」
「僕は誰かとお付き合いすべきなんだ」
「そうよ、皆がいてもね」
生きものの皆も見て言いました。
「トミーも王子もいても」
「誰かとお付き合いをして」
「交際してね」
「結婚もなんだ」
「すべきよ」
「僕には何の縁もないお話でも」
「だから縁がないと思い込むことがね」
サラは心から言いました。
「全く以てね」
「駄目だっていうんだ」
「そうよ」
実際にというのです。
「先生はね」
「そうなんだ」
「だからね」
サラはさらに言いました。
「考えを変えてね」
「僕にはないからね、そんな縁は」
「落語でもあるじゃない」
「春琴さんのかな」
「日本の関西弁でもお話していて」
そしてというのです。
「英語でもよ」
「恋沙汰の落語しているね」
「それも上手にね」
春琴さんの落語家の着物姿で正座して手振りも入れて英語でお話するその動画を観つつ言いました。
「してるでしょ」
「そうだね」
「イギリスでも日本でもどうしようもない人はいるわ」
「世界の何処でもね」
「人間と呼ぶのも憚れるみたいな」
そこまで質の悪いというのです。
「人減の屑と言うしかない」
「残念なことに何処でもいるね」
「そんな手合いでも結婚してるでしょ」
「世の中そうだね」
「最低な人でもね」
それこそというのです。
「そんな人と比べたら先生なんて」
「どうなのかな」
「聖人君子よ」
こう言っていいまでというのです。
「それこそね」
「そうかな」
「温厚で公平で紳士でね」
そうした人でというのです。
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