第1話 クルト=ゾルディック
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相手が唯の子供だと完全に侮っていた事がブラドの唯一にして絶対的な敗因だ。
「おいシャーロック、仕事完了だ…ぞ…」
そう言いながら振り返ったクルトは小さく絶句する。
頭部を失い、更には心臓までうしなった筈のブラドの身体が再生を始めたのだ。そこでクルトはようやく思い出す。
吸血鬼には、体内に〈魔臓〉と呼ばれる内臓器官が四つあり、それが機能している間、どんな傷も即座に回復してしまう。その〈魔臓〉の効果を向こうかするには、四つある〈魔臓〉を同時に攻撃しなければならない。
「うわ、面倒な能力持ってんなあいつ」
クルトは迷う。
現在の自分の戦闘能力では、ブラドを完全に殺すのはほぼ不可能に近い。場所や道具をきちんと揃えればどうにかなるかもしれないが、如何せん砂浜では厳し過ぎる。
そこでクルトは即座に方針を変更する。
(ムカつくが、殺せない以上生け捕りにするしかないか)
クルトは駆け出す。
ブラドが完全に再生し終われば、面倒な事になりかねない。
(仕方ない、念を使うか…)
クルトは自らの肉体にある精孔からオーラを放出する。このオーラを操る能力の事を念能力と呼び、念能力を使える者を念能力者と呼ぶ。
そしてクルトは駆けながらオーラを練る。そしてその練ったオーラの全てを拳に集束させる。
纏、絶、錬、発、という基本の四大行と凝という応用技を使った―――。
―――硬。
全てのオーラを拳に集中させる事で、圧倒的な破壊力、防御力を誇る。
「とりあえずこいつで―――寝てろ!」
渾身の突きがブラドを吹き飛ばす。
一気に数十メートル吹き飛び、そのまま奥の岩壁にぶち当たり、ブラドはそのまま倒れ込む。
しかし、〈魔臓〉が未だ存在している時点で、気は抜けないと、クルトは臨戦態勢を解かない。
「大丈夫さ」
そんな中、声を掛けたのはシャーロックだった。
「…何が大丈夫なんだ?」
「ブラドは君に頭部と心臓を潰されている。いくら〈魔臓〉が機能しているとはいえ、即座回復は難しい。それに〈魔臓〉の一つである舌は頭部を潰したと同時に君が破壊したし、わき腹にある〈魔臓〉も今の攻撃でダメージを負っている」
「だから死なないけどすぐには回復しないって?」
正直に言えば、クルトはそんな事自体は関係なかった。ムカつき、苛立った感情は、今の戦闘で粗方発散出来た。
それよりもクルトが気になるのは、シャーロックがブラドの〈魔臓〉の位置を把握していながら教えなかった事だ。最初から教えられていれば殺せた、なんて強がりをクルトは吐くつもりはなかったが、それでも手持ちのカードは多ければ多いほど良い。
(まあ、特に文句を言うつもりはないけどな)
感情的になってい
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