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第四十二話 虚無その十一

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「だからな」
「今はだね」
「ゆっくり休んでくれ」
「ではね」
「ただ。二人のことは」
 神威も三人が一緒にいる写真を見た、そのうえで言った。
「これからもだな」
「忘れないよ、もういなくなったけれど」
 二人共とだ、昴流は寂しい微笑みで答えた。
「けれどね」
「そうしたらいい」
「うん、それに今の僕には」
 昴流はさらに話した。
「皆がいてくれるから」
「俺達がか」
「天の龍の皆がね」 
 今度は優しい微笑みで話した。
「いてくれているから」
「だからか」
「皆と一緒に戦って」
 昴流は言葉を続けた。
「生きていくよ」
「そうしてくれるか」
「そうするよ、北都ちゃんも星史郎さんも」
 二人共、というのだ。
「僕がそうすることを望んでいるだろうし」
「間違いないな」
 そのことはとだ、神威も答えた。
「昴流さんを大切に想っているなら」
「そうだね」
「だからか」
「これからはね」
「俺達と共にか」
「生きていくよ、では今からね」
「寝るか」
「お風呂に入って歯を磨いて」
 そのうえでというのだ。
「そうさせてもらうよ」
「わかった、ではな」
「話を聞いてくれて有り難う」
「こちらこそ聞かせてくれてよかった、またな」
「またね」 
 二人は最後は礼の言葉を交えさせた、そしてだった。
 神威は部屋を出て昴流は一人に戻った、そのうえで神威が言った通りのことをしてから寝間着に着替えてベッドに戻ったが。
 そこでだ、二人に別れの言葉を告げて寝たのだった。
 その夜牙暁は夢の中で星史郎に会って彼に言っていた。
「これで遂に」
「終わらせましたよ」
「そうだね」
「僕はああすると思っていましたね」
 微笑んでだ、星史郎は牙暁に問うた。
「そうでしたね」
「夢でも見たよ」
 自分の能力でもとだ、牙暁は答えた。
「確かにね」
「そしてその通りにです」
「君はしたんだね」
「それだけです」
「ずっとああしたくて」
「出来て何よりです、これで昴流君は自由ですよ」
「桜塚護にならなくて」
「僕達のしがらみから解放されて」
 そしてというのだ。
「生きられますよ」
「けれど魂は」
「僕と北都さんのことを忘れられないで」
「悲しんでその形で」
「僕に縛られますか」
「そうなるよ」
「優しいですからね、昴流君は」
 今度はにこりと笑って答えた。
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