第39話 太史慈
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無いからな。
自分が気に入らない人間を濡れ衣で殺したりする酷い奴だ。
他にも叩けば幾らでも埃が出る悪徳大守だ。
そんな奴が派手に動けば自分の首を締めるに決まっている。
「それで山陽郡の麒麟児は何処に逃げたんだ」
「え!まさか山陽郡の麒麟児を捕まえるなんて言わないでしょうね。太史慈さん。そんなことしたらエン州の民に恨まれますよ」
「馬鹿野郎!そんなことする訳ないだろ。私だって泰山の大守のやり方は気に入らなかったんだ」
舐めた連中だ。
アタイのことをなんだと思っているんだ!
「山陽郡の麒麟児はこの青州に逃げ込んだという話です」
「まじか!」
アタイは禿豚の首を締め上げた。
「く、苦じいいぃーーーーーー」
「あ。済まねえ」
「はあ、はあ。死ぬかと思った・・・・・・」
「それで山陽郡の麒麟児がこの青州に逃げ込んだという話は本当か?」
「正確な情報じゃないですけど・・・・・・。多分、逃げ込んだと思います」
「多分だぁ!」
アタイは禿豚のいい加減な言い方に腹が立って怒鳴った。
「ひぃいいいーーーーーー。俺だって又聞きなんです。ゆ、許してください」
禿豚が恐怖した表情で謝ってきた。
「はあーーーーーー。じゃあ山陽郡の麒麟児が本当に青州に居るか分らないんだな」
アタイは山陽郡の麒麟児に会えるかもと期待して損した。
「太史慈さん。そう言えばこの街に数日位前から余所者を見かけましたよ」
「それがどうしたんだ。余所者位居るだろう。この街は街道沿いなんだから・・・・・・」
アタイは禿豚を睨み付けた。
「睨まないで下さい。その連中エン州方面の街道から来たみたいなんですよ。それに身形も確りとしてました。だから、山陽郡の麒麟児のことも何か知っているかもしれないです」
身形の確りした奴ら・・・・・・。
泰山の大守の配下じゃないな。
追手ならわざわざ目立つ格好はしない。
「そいつら何処に居るんだ」
「街の宿に泊まってると思います」
「どこの宿に泊まっているか聞いているんだよ!」
「すいません。知りません。多分、虱潰しに宿を訪ねていけば会えると思います」
禿豚はこの街の宿を全部訪ねれば会えるだろうと舐めたことを言い出した。
「お前!舐めてんのか!」
山陽郡の麒麟児に会う機会なんてそうそうないから駄目元でやってみる。
「ひぃいいいーーーーーー。ゆ、許してください」
禿豚が頭を抱えて震えているのを無視して、エン州方面から来た余所者を探すことにした。
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