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第四十二話 虚無その八

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「そしてな」
「そのうえで」
「美味いものも持って行く」
 昴流にというのだ。
「そうする」
「そうですね、元々昴流さんの為に作ったんですし」
 護刃は料理を作った小鳥に顔を向けて神威に答えた。
「それなら」
「あの人も食わないとな」
「駄目ですね」
「そうだ」
「この匂いはカレーですね」
 征一狼は自分達のところに来た香りを嗅いで言った。
「そうですね」
「はい、カツカレーにしました」
 小鳥は微笑んで答えた。
「それでデザートにメロンもあります」
「買って来てくれたんですね」
「皆さんの分を」
「それはいいですね」
「それじゃあね」
 火煉も口を開いた。
「私達も食べて」
「昴流さんもな」
「食べましょう、いえ食べてもらわないとね」
 昴流が今日のことで精神的にショックを受けて食欲がないかも知れないと考えてそのうえでこう言った。
「身体がもたないから」
「それでだな」
「ご飯を持って行ってあげて」
 そしてとだ、神威にも話した。
「そうしてね」
「そのうえでだな」
「食べてもらいましょう」
「そうしよう」
 神威は火煉の言葉にも頷いた、そうしてだった。
 一行はまずは夕食を食べた、その後で。
 神威は食事を持って昴流の部屋に行って扉をノックした。するとすぐに低いが確かな声で返事が来た。
「どうぞ」
「わかった」
 神威も応えた、そうしてカツカレーと紅茶それにメロンを持ってそのうえで彼の部屋に入るとだった、
 質素な部屋の中のベッドに腰かけて座っている昴流がいた、昴流は神威の手にあるものを見て言った。
「晩ご飯持って来てくれたんだ」
「ああ、食わないとな」
「身体がもたないね」
「だからだ」 
 そうであるからこそというのだ。
「持って来た」
「有り難う、それじゃあね」
「今から食うな」
「そうさせてもらうよ」
「それでだ」
 神威は昴流の前に食事を置いてからさらに言った。
「よかったらだ」
「僕と星史郎さんのことかな」
「聞かせてくれるか」
「いいよ、下らない話だけれどね」
 それでもとだ、昴流は神威の心を受け取って話した。
「聞いてくれるかな」
「それではな」
「今から話すよ」
 昴流は食べつつ話をはじめた、自分の耳を触りつつまずはこう言った。
「僕には印があるんだ」
「あいつが付けたものか」
「うん、桜塚護の獲物だという」
 その証のというのだ。
「印がね」
「付けられたか」
「この印を付けたら」
 そうすればというのだ。
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