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第四十二話 虚無その四

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「しかしな」
「それでもだね」
「何かあると思ってな」
 それでというのだ。
「迎えに来た」
「そうなんだね」
「それでか」
「星史郎さんは死んだよ」
 今は泣いていない、だが言葉は悲しみそのものだった。
「そしてその死は」
「昴流さんが望んだものじゃなかったな」
「何もかもね」
「それもわかる、しかしな」
「闘いは終わったから」
「帰ろう、皆も待っている」
「それじゃあね」
「星史郎さん・・・・・・」
 封真も来た、彼は星史郎の亡骸を見て悲しい顔で言った。
「やはり貴方は」
「お前も迎えに来たか」
「ああ、お前と同じだ」
 封真は昴流の傍に来た神威に答えた。
「そして今はな」
「戦うつもりはないな」
「星史郎さんを連れて行っていいか」
 こう神威に問うた。
「今から」
「ああ、お前にとっては大切な仲間だな」
「友達だった」
 神威の目を見て答えた。
「そのお一人だった」
「そうだな」
「それでだ」 
 神威にあらためて言った。
「今からな」
「お前の願は聞く」
 これが神威の返事だった。
「何時でもな」
「そう言ってくれるか」
「俺も戦うつもりはない」
 封真と同じくというのだ。
「今はな」
「それならな」
「また会おう」
 昴流を後ろにして言った。
「そして戦いの場で会ったならだ」
「俺を連れ戻してか」
「また小鳥と三人で暮らそう」
「俺もそうする、だが今はな」
「お前の友達をだな」
「連れて帰る、星史郎さんは長い旅を終えたんだ」
 今は安らかに眠る彼を見て話した。
「だからな」
「連れて帰るか」
「そうさせてもらう」
「行こう、神威君」
 昴流は振り向いて彼に声をかけた。
「彼の言う通り星史郎さんは旅を終えたから」
「だからか」
「僕達はね」
「もう何もすることはないか」
「そしてお友達のところにね」
「帰るべきだな」
「僕のところじゃないよ」
 星史郎の帰るべき場所はというのだ。
「そうなったから」
「終わってか」
「星史郎さんにも言われたしね」
 神威に最後の言葉をこう述べた。
「僕達の場所に帰ろう。
「それじゃあな」
「星史郎さん、行きましょう」
 封真は星史郎を左肩に担いで彼に顔を向けて声をかけた。
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