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第四十二話 虚無その一

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                第四十二話  虚無
 天の龍達はまずは全員で橋に向かっていた、だが。
 昴流は橋からあと少しのところでだ、仲間達に告げた。
「皆はここでね」
「待っていてくれるか」
「僕が生きているかどうかは気でわかるね」
 神威に対して言った。
「そうだね」
「ああ、その時はな」
 神威もそれはと答えた。
「今も昴流さんの気を感じる」
「終わって僕が生きていれば」
「その時はか」
「僕は戻って来るから」
「そうしてくれるか」
「そして若し」
「気が消えたらか」
「星史郎さんは僕を迎えに来た人には何もしないよ」
 彼がそうした者だとわかってのことだった。
「だからね」
「迎えに来ていいか」
「そうしてくれるかな」
「その時は俺が行く」
 神威は自分がと答えた。
「そうさせてもらう」
「頼むよ、ではね」
「ああ、行って来てくれ」
「そうさせてもらうよ」
 神威に微笑んで言葉を返した、そしてだった。
 昴流は前を向いて歩きはじめた、一人で橋に入った。
 星史郎もだった、橋まであと少しのところで仲間達に告げた。
「ではこれからは」
「貴方一人で、ですね」
「行って来ます」
 封真に微笑んで答えた。
「これから」
「わかりました」
「僕の生死は気で察して下さい」
 封真にこうも話した。
「そして生きていればです」
「ご自身で、ですね」
「ここまで戻ってきます」
「そしてですか」
「そうでない時は」
 その時はというと。
「どなたかが」
「迎えに来ることですね」
「そうしてくれますか」
「なら俺が行きます」
 封真は自ら申し出た。
「それでいいですか」
「お願いします」
 星史郎はここでも微笑んだ、そのうえで返事をした。
「そう言われるなら」
「それでは」
 こう話してだった。
 星史郎もまた前に出た、そしてだった。
 橋の中に入った、そのうえでさらに前に進んでいった。
 昴流はやがて橋の中央に来た、前から彼が来ているのを見た。そしてその距離が次第に縮まってだった。
 お互いに手を出せば握手出来る距離にまで至った、そこで昴流は言った。
「お久し振りです」
「お元気そうですね」 
 星史郎は微笑んで応えた。
「何よりですね」
「星史郎さんこそ。お会いしたかったです」
「僕もですよ」
「嘘です、貴方は僕の前に現れませんでした」
 星史郎の今の言葉を否定した。
「十年の間」
「それは何故かわからないですか」
「どうしてですか?」
「それがわかってくれればよかったのですが」
「そう、ですか」
「ええ、ですが今こうしてです」
「僕達はまた会いました」
 昴流は真剣な面持ちで言った。
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