第十九話 少年期A
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「あっ、このお菓子新発売されるんだ。へぇーまじか、こんな昔からあるものだったのか」
昼食を食べ終わった一服時。俺は頬杖をつきながら、目の前に映し出される映像に感心していた。もともと現代っ子の俺にとってパソコンやテレビがない生活は考えられなかったが、そこは地球より技術の進んだミッドチルダ。全く問題なかった。
普通に家に端末があったし、インターネットのような情報サイトも見られる。しかもパソコンのような箱型の機械ではなく、空中に画面を映し出してどこでも操作ができるのだ。使い方も意外に簡単で、母さんが俺たち用の端末をインストールして教えてくれたため、今では俺も当たり前のように使える。
そういえば子どもがネットを使うのはよくない、って教育的な問題が日本にはあったな。こっちでは端末を使うことに早く慣れるべきという風潮があったおかげで、こうして幼いころから使うことができる。やっぱり機械と一緒に暮らすのが当たり前な魔法文化圏だからなのかね。子どものためのセキュリティーも高いから、親も安心なのだろう。
「なんだか久々に食べたくなってきたな…。またお店に顔だしてみよ」
俺はメモ帳に店の名前を書き、お菓子の名前も書き込んでおく。ずっとこの先、施設の中で缶詰め状態にはならないだろうし、お出かけできるようになったらいけばいいだろう。前にお土産で買ってきた「柿○ー」も好評だったしな。せっかくだからみんなの分もお願いしておこう。
「あ、お兄ちゃん。何見てるの? ……『ちきゅうや』?」
「うおっ、アリシア」
後ろからにゅっと覗き込んできた妹に驚く。さっきまでアリシアはお絵かきをしていたので、俺はネットで時間をつぶしていた。妹は気になったからこちらに来たのだろうが、俺はとっさに先ほどまで見ていた画面のアクセスを切る。それを見たアリシアがムッとむくれた。
「あー! どうして見せてくれないの!?」
「アリシアにはまだ早いの。コアな世界はまだ見ないで、健全に成長したらいいから」
「お兄ちゃんは見てた!」
「お兄ちゃんはもうどっぷり影響されているからいいの」
『マイスター泣きますよ』
うっさい、コーラル。俺はすでに20年以上浸かっていたから今更なんだよ。
ちなみに、『ちきゅうや』はクラナガンにあるこじんまりとした店舗のことである。たまたまネットで調べていたらここのサイトを見つけて、それ以来よく覘いている。現在原作から20年以上前だからなのか、どうやら俺が生まれるよりも前の時代の品物や情報が手に入る。俺にとって懐かしい品々も多く、日本のものも多く取り揃えられているのだ。
しかし俺にとっては故郷の思い出でも、妹は違う。下手に異文化を真っ新な子どもに教えると、変な化学変化を起こすかもしれない。もし妹があ
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