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八条学園騒動記
第七百二十三話 狼へのイメージその十

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「それだけで違う」
「そうなのですか」
「何も思わずことを進めてもな」
 そうしてもというのだ。
「何も変わらない、そしてだ」
「偏見もですね」
「意識せずだ」 
 そうしてというのだ。
「見ていくとな」
「その偏見が入って」
「見誤る」 
 そうなるというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「まずはな」
 何と言ってもというのだ。
「意識することだ」
「それが第一ですか」
「そしてそれを失くそうとすればな」
 偏見、それをというのだ。
「違うのだ」
「それだけで」
「だから私も君もな」
「偏見なくですね」
「連合を見ていくぞ」
「生きもの達を」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「狼もな」
「そうしていきますね」
「そしてだ」
「正しい姿を知ることですね」
「何度も言うが狼は悪魔ではない」
 決してというのだ。
「ジェヴォダンの野獣もだ」
「フランスで暴れ回った」
「ルイ十五世の頃にな」
 この謎の獣のことは歴史にも書かれている。
「あの獣もだ」
「狼ではないですか」
「当時は狼が疑われたが」
 それでもというのだ。
「実はな」
「違いますか」
「何度も言うが狼は人を襲わないからな」
 だからだというのだ。
「あの獣は狼ではない」
「狼の真の姿を知ると」
「それは絶対にだ」
 まさにというのだ。
「有り得ないことだ」
「そうなりますね」
「あの獣に就いては今も色々言われている」
 この時代でもというのだ。
「実は何だったとな」
「今も狼と言う人はいますか」
「エウロパではな、しかしな」
「どう見ても違いますね」
「少なくとも生物学者は言っていない」
 狼のことをよく知る彼等もというのだ。
「狼とはな」
「そう言える根拠がですね」
「ある、それはだ」
「狼への正しい知識ですね」
 学者だから知らない筈がないことである。
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