第3部
ジパング
扉の向こうの決戦
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たしたちと離れるのが寂しいんじゃない?」
図星を突かれたのか、シーラの発言に目を丸くするヤヨイさん。
「そ、そんなこと……」
否定しない辺り、あながち間違ってはいないようだ。けどそれは、私も同じだ。
「私ももっとヤヨイさんたちと一緒にいたいよ。せっかく仲良くなれたんだもん」
「お前の場合はここの飯が食えなくなるのが嫌なだけだろ」
「そんなことないよ!!」
ユウリの横やりに、即座に否定する私。そんな言い方されたら、私がただの食い意地の悪い女だって思われちゃうじゃない! ……まあでも、ここの国のお米が滅茶苦茶おいしいのは間違いないんだけどさ。
そんなやり取りを交わしながら食事も終わり、昨日と同じように寝床につく。ユウリとナギは納屋で再び寝るため、外に出た。先に納屋へ行ったナギのあとに続くように、ユウリも入り口の戸を開け納屋へ向かう。するとそこへ、ヤヨイさんがユウリのもとへ駆け寄った。
「あ、あの、ユウリさん、ちょっといいですか?」
突然声をかけられ、訝しむユウリ。だが特に断ることもなく、ユウリとヤヨイさんは揃って外へと出ていってしまった。
「ヤヨイさん、ユウリに何の用だろ?」
つい気になった私は、ぼそりと呟く。そんなつぶやきを聞いていたシーラが、ヒイラギさんが用意してくれた布団にくるまりながら答える。
「気になるんなら、こっそり追いかけてみれば?」
「で、でもそれって覗き見してるみたいで、罪悪感というか……」
「うーん、気になるんでしょ? でもまあ、ミオちんのしたいようにやんなよ。あたしはもう眠いから寝るね。おやすみ〜……」
よっぽど疲れているのか、そう言った途端シーラはすぐにすやすやと寝息をたて始めた。私もオロチとの戦いで相当疲れているはずなのだが、なぜかユウリとヤヨイさんの姿がちらついて眠る気が起きない。
しばらく悩んだが、このモヤモヤとした感情をすっきりさせるため、結局私は入り口の戸を開けることにした。
戸を静かに開けて外に出ると、眩しいくらいの月の光が辺りを照らしていた。
リーンリーンと、涼しげな虫の音がどこからともなく聞こえてくる。
辺りを見回すが、近くに二人はいないようだ。だが、建物の陰に隠れないと、この月明かりでは私の存在はすぐにバレてしまう。私はまず近くの茂みに隠れながら、二人がどこにいるか探すことにした。
??あ、いた!
探すこと数分、家の裏手の方に二人は立っていた。私は気配を極力抑えながら、二人の声が聞こえる範囲まで近づき、身を低くして家の壁の陰に隠れた。
「……いい加減用件を言ってくれないか」
しばらくの沈黙のあと、堪りかねたのか、ユウリの方から口を開いた。この様子だと、まだヤヨイさんは用件を伝えていないらしい。
「すっ、すみません! あの、えーと、そ
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