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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ジパング
扉の向こうの決戦
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ながらも、何度もお礼を言っていた。
 その後私たちはヒイラギさんのご厚意で、もう一晩泊まることになった。食事の間、私たちの活躍を見ていた他の村人たちがヒイラギさんの家にやってきて、次々に感謝の言葉を伝えてきた。中には米俵をくれる人まであらわれ、ちゃっかりユウリはそれを受け取っていた。
「それにしても、どうしてオロチが逃げ込んだところが、ヒミコ様の屋敷とつながってたんだろう?」
 ヒイラギさんが炊いてくれた白飯を口に入れながら私が言うと、ユウリは何か言いたそうにしながらも、無言で私を一瞥した。
「ミオちん、今後のことも気になるし、明日屋敷に行ってみようよ。何かわかるかもしれないよ?」
「あ、う、うん。そうだね」
 なんとなくだが、シーラに上手くはぐらかされた気がする。そしてヒイラギさんとヤヨイさんの方を見ると、二人ともどこか浮かない表情をしていた。
 そんな二人の気を紛らわそうと、シーラが明るい声で彼女たちに尋ねた。
「あ、そうだ。超今更だけど、二人とも、『オーブ』って知ってる?」
「『おうぶ』ですか……? さあ、わかりませんね」
 ヤヨイさんにも視線を向けるが、彼女も首を振る。
「その、『おうぶ』というのは、いったいどういうものなんですか?」
「言うより実際に見た方が早いな」
 そう言うとユウリは箸を置き、部屋の隅にある自分の鞄から、ちょうど手に取ったブルーオーブを取り出した。
「これと同じ形状で、おそらく紫色をしているみたいなんだが、見たことはないか?」
 薄暗いランプに照らされた青く光るオーブをまじまじと見たヤヨイさんは、まるで宝石を初めて見る子供のように目をキラキラと輝かせた。
「こんなきれいな珠、見たことありません……。ですが、もしかしたらヒミコ様のお屋敷にあるかもしれません」
「なんだって!?」
 彼女は自分に注目するユウリから恥ずかしそうに目を背けながらも、記憶の糸を辿るように話し始めた。
「確か、オロチの生け贄に選ばれた後、ヒミコ様のお屋敷に呼ばれたんですが、そこでヒミコ様は私に話していました。無事に生け贄として役目を果たせたら、十分な褒美を家族にくれると」
「その褒美の中にオーブがあるかもしれないということか」
 ナギの推理に、ヤヨイさんは小さく頷いた。
「どのみち明日は屋敷に行く予定だからな。オーブのことも屋敷の連中に聞いた方がよさそうだ」
 ユウリの決断に、私たちは是非もなく同意した。
「あ、あの……、その『おうぶ』とやらを見つけたら、ユウリさんたちは行ってしまうのですか……?」
 おずおずと、ヤヨイさんがユウリに尋ねる。
「ああ。俺たちがここに来た目的は、そのオーブを手に入れるためだからな」
「そうですか……」
 その言葉に、ヤヨイさんはしゅんとなる。
「もしかしてヤヨちゃん、あ
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