暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第177話:雪解けの輝き
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 突如出現したアルカノイズの集団を、透はグロウ=メイジに変身し1人で相手取っていた。周囲にはソーニャとステファンを始め、逃げ遅れた人達が多数居る。彼らに犠牲を出さないようにする為、透は1人でそれらの相手をすることが求められた。

 一切の支援もないたった1人での防衛戦。救いがあるとすればこの状況は既に本部に知られていて、増援がこの場所に向かって来てくれていると言う事か。誰か一人でも援護に来てくれれば、透の負担は劇的に減る。

 問題はそれまでに犠牲者を出さずに戦えるかという事だ。

「うわっ!? くっ!」
「ステファンッ! こっちよッ!」

 崩れる建物の瓦礫に押し潰されないよう気を付けながら逃げようとするソーニャとステファン。降ってくる瓦礫から頭を守りながら、足元に転がる残骸に足を取られないようにしつつ逃げるのはなかなか骨が折れるのか外に出る事が出来ずにいる。
 その最中、ステファンはチラリと外で戦う透の姿を見た。

「――ッ!!」

 喉を潰された透の口からは、雄叫びの様な勇ましい声は出ない。にも拘らず、彼からは強い気迫の様な物を感じた。素早くアルカノイズの間を縫う様に動き回り、すれ違いざまに切り裂き屠っていく。
 中には透の攻撃を免れて、逃げ遅れた人に襲い掛かろうとするアルカノイズも居る。しかし透は彼らへの手出しを許さなかった。一瞬そちらに視線を向け状況を察すると、躊躇なく手に持つカリヴァイオリンを投擲しブーメランのように弧を描く双剣がアルカノイズを切り裂いた。
 目的を達した双剣はそのままの勢いで戻ってくる。が、その間彼は無手だ。それを好機と見た訳ではないだろうが、アルカノイズ達は無防備な透に襲い掛かろうと一斉に飛び掛かろうとする。投擲した武器はまだ彼の手元に戻っていない。これでは絶体絶命だ。

 透の戦いを見ていたステファンがそう思った次の瞬間、彼は指輪をはめた右手を腰のハンドオーサーの前に翳した。

〈ブリザード、ナーウ〉

 魔法を発動し右手を前に向けるとそこから全てを凍てつかせる吹雪が放たれる。吹雪はアルカノイズも凍り付かせ、動きを止めるのみならずそのまま砕き散らした。
 吹雪を放つ状態で彼が体を回転させれば、彼に飛び掛かろうとしていたアルカノイズが軒並み同じ末路を辿り、彼の周囲から動くアルカノイズは居なくなっていた。
 そして周囲のアルカノイズが消えた頃になって、戻って来たカリヴァイオリンを彼は危なげなくキャッチし次のアルカノイズへと攻撃を仕掛ける。淀みの無いその戦い方に、何時しかステファンは完全に魅せられていた。

「凄い……」

 心奪われた様に呆然とステファンが呟くが、それはソーニャの言葉でもあった。2人は共にバルベルデで透が戦う様子を見ていたが、素人目にも今の彼の戦い方はその時
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